気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

『新解さんの謎』あるいは「凡人」について

新解さんの謎』という有名な本がある。96年に出て大いに話題になった。ぼくなんかは恥ずかしくて手に取れなくて、そのまま最近まで過ごした。

新解さんの謎 (文春文庫)

新解さんの謎 (文春文庫)

最近、Kindle版があることを知り、ようやく読んで見た次第。『新明解』の話は確かに面白かった。

この本を読みつつ国語辞典に「凡人」の項目があるらしいことを知る。『新解さんの謎』が対象としている『新明解』(うちにあるのは第七版)の前に、『岩波国語辞典』第七版・新版をチェックしてみた。

特にすぐれた点もない人。普通の人。また、つまらない人。

最後の「また」が愉快だけど、まあ普通の定義だ。そして目的の『新明解』第七版を見てみる。

自ら高める努力を怠ったり功名心を持ち合わせなかったりして、他に対する影響力が皆無のまま一生を終える人。〔家族の幸せや自己の保身を第一に考える庶民の意にも用いられる〕

 「一生を終える」あたりが『新明解』らしいところか。

新明解国語辞典 第七版

新明解国語辞典 第七版

ところで、『新解さんの謎』があまりにはやったもので、以来『新解さんの謎』はもちろん国語辞典も恥ずかしくて買えなくなっていた。

これこそ非常に情けない、凡人的心性を示すものであっただろう^^