気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「話に尾鰭が付く」の本当の意味をようやく発見?!

「尾鰭が付く」とか「尾鰭を付ける」という表現がわからなくなった。

たとえば『広辞苑』第六版では次のような定義になっている。

事実以外のことをつけ加えて、話を誇張する。

 『大辞泉』第二版でも同じような感じ。

話が伝わる間に実際にないことが付け加わって大げさになる。「うわさに―・く」

これまで疑問の余地もなく使っていたけれど、なぜ「尾鰭」が「事実以外」とか「実際にないこと」という意味になったんだろう。

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一説には「決まった数の尾鰭はすでについているのに、さらに付けるのが余計なのだ」というのがあるようだ。それはまずまず説得力はある。

確かに『現代国語例解辞典』第四版では「事実以上の種々な付け加えをする」とも記している。しかしそれなら「尾鰭を付ける」という言葉自体に「余計な」とか、そういう説明的単語を付けておくべきではないか。

混乱しつつ『精選版日本国語大辞典』の「尾鰭」を見てみる。

本体となるものに付帯している部分。特に、話題に付け加えられる事柄。おまけ。

これはちょっと面白い。「尾鰭」が「実際にないこと」ではなく、「本体となるものに付帯している」というのがいい。確かに魚には尾鰭はついている。しかし、なんの目的で魚を求めるにせよ、「尾鰭が目的なのではない」ということだ。

 つまり、「話に尾鰭がつく」とは「誇張」とか「大げさ」ということを示すのではなく、「本題以外のいらない部分が増える」ということなんじゃなかろうか。質的に膨らむのではなく、単に量的に膨らむことを意味するのではないか。

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実は『精選版日本国語大辞典』にも「おひれが付く」は項立てされている。そしてその語釈は次の通り。

事実以上に種々のことが付け加わる。複雑になる。 

「事実以上」の言葉が残念な感じ。でも「複雑」というのは、上の「量的に膨らむ」に近い感じがあるのではなかろうか。

と、いうわけですみません。「本当の意味」は嘘です^^。でも、「量的である」と考えれば辻褄があうんだよな~。

あー、面白かった。

新明解故事ことわざ辞典

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