気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

落語「百年目」に出てくる「百年目」は、落語用語ではなく一般名詞

落語に「百年目」という話がある。世界大百科事典によればこんなサゲの噺。

〈あんな不始末をお目にかけまして,これが百年目と思いました〉

最初に聞いたとき、「百年目」ということで「時が尽きるとき」とか、転じて「運が尽きるとき」という意味なんだろうなと思った。いずれにせよ「落語用語」なのかと思った。

六代目 三遊亭圓生 名演集 6 百年目

六代目 三遊亭圓生 名演集 6 百年目

でも違った。ちゃんと辞書に載っている言葉なんだった。『新訂新言海』を見てみる。

(1)百年ニ相當スル年。(2)陰謀ナドノ露顕ニ及ビタルトキニ云フ語。

ちょっと不親切かな。『広辞苑』第六版を引いてみる。

(1)めったにない好機。浮世草子、好色盛衰記「福徳の—」 (2)「おしまいの時」の意で、陰謀などの露顕した時などにいう語。「見つけられたが—」

何かが「転じて」どうしたこうしたとか考える必要はないわけだ。辞書に普通にのる、当たり前の言葉であり用法であるんだな。

「落語用語」だと思っていた言葉が数多く辞書にあり、驚きつつ恥じているところ。

ちなみに『広辞苑』には「権助魚」に出てくる「網取り」という言葉も立項されている。

三遊亭兼好落語集 噺し問屋 長屋の花見/権助魚

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