いつ覚えたんだろう。気がつけば「笑止」という言葉は普通に受け入れている。
たまに由来を考えようと思うことはあっても、まあ「笑いも凍りついちゃうぜ」くらいの意味かななんて思って詳しく調べることはしなかった。
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ところが辞書によると「笑止」は「当て字」だなんて書いてある。
但し、歴史と伝統のある当て字のようだ。『古語大辞典』を見てみる。見出しは「せうし」。
(1)(自分にとって)困ったこと。
(2)(相手や他の人が)気の毒なこと。かわいそう。
(3) 笑うべきこと。おかしいこと。
その語誌欄を見る。
平家物語などに「勝事」という語がある。平家正節によるとこの語はショウシと清んで読まれた。…「笑止」はセウシであるが、平安末期には、ショウとセウとの区別が失われていたと考えられるから「勝事」と「笑止」とは音が通じた。
「困ったこと」というのが元々の意味だったが、後に「笑うべきこと。おかしいこと」という意味も生まれたようだ。
「笑止」という漢字表記は(笑うべきこと)の意味が生じてから行われるようになったものであろう。易林本節用集には「勝事 ショウシ 笑止同」とある。
「当て字」だなんて言われると、つい「夜露死苦」なんかを思い出してしまうが、こういう国風文化な(?)当て字もあるのだなあ。
きっとこの当て字に対しても、当初は眉をひそめる人が多かったことだろう。