気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

上目づかいと三白眼

『明鏡』を眺めていると、「おや」と思うことが多いように思う。今回は「上目遣い」。「上目」の中の子項目として立てられている。

顔を動かさずに、目だけを動かして上を見る目つき。▼人に対するときは悪い感じを与えるものとされる。「―遣(づか)いに人の顔色をうかがう」

「悪い感じを与える」というのがちょっと気になった。ちなみに手持ちの他の辞書では「悪い感じを与える」というような記述はない。

また「上目づかい おねだり」などでGoogleってみれば、女性の武器としての上目づかいのネタがいろいろと出てくる様子。 

確かにビジネスシーンなどでは、上目づかいは疑念を感じているように見えるという意見もあるけれど。

でも上目づかいを一般的に「悪い感じを与える」とくくるのはちょっと違うようにも感じる。あるいは「三白眼」と同様であると考えているんだろうか?

たとえば『大辞泉』第二版で「三白眼」を見ると次のようにある。

黒目が上方にかたよって、左右と下部の三方に白目のある目。人相学上、凶相とされる。

こちらはいろいろな辞書で、凶相であると書かれている。『明鏡』では「上目づかい」と「三白眼」を一緒にしているんだろうか?『明鏡』で三白眼をみる。

黒目が上に寄り、左右と下部の三方に白目のある目。

あはは。こちらには「凶相」云々がなかった。

「上目づかい」と「三白眼」で見る限り、『明鏡』は他の辞書の逆をいっている感じのようだ。 

ところで個人的にはあまり使ったことがないけれど、「上目づかい」の反対語は「下目づかい」。「理屈でいえばそうだろうけど、そんな言葉があんのかよ」と思う人もいると思う。

しかし『日本国語大辞典』でも空項目ながら「下目づかい」を立て、「下目」にリンクしている。

(1)視線を下に向けること。また、その目つき。下目使い。

こちらの方は『明鏡』も同様な定義をしているようだ。

日英比較 ボディ・ランゲージ事典

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