気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「有り難い」から「ありがとう」

「ありがたい」は意外に難しい。たとえば源氏物語にある。

世の中はありがたく、むつかしげなるものかな

当たり前だけど、これは「むつかしくてありがとー」(偏差値が上がるから?)なんて意味じゃない。この場合の「ありがたく」は「暮らしにくい」とか「生きにくい」とか、そんな意味。

窯変 源氏物語〈1〉

窯変 源氏物語〈1〉

 『小学館全文全訳古語辞典』には「『ありがとう』は『有り難し』から」というコラムが掲載されている。

お礼のことば「ありがとうございます」は、もともと「有り+難し」、つまり「有ることが難しい(めったにない)」という意味でした。

「有り+難し」でよく使われる例が『枕草子』。

ありがたきもの。舅にほめらるる婿。また姑に思はるる嫁の君。

現代語としてでも、たとえば『広辞苑』第六版で「ありがたい」を見ると「有り難い」の説明がある。

1.存在が稀である。なかなかありそうもない。珍しい。 2.生存しにくい。生きがたい。

「感謝」の意味が出てくるのは5番目の語義。

小型辞典などでは「感謝」が先にくることが多いようだけれど、中型以上だと、どうしても語誌的な内容も書き記しておこうと考えるようだ。

例えば『大辞泉』第二版。「感謝」を第一義としつつ、それだけで終わらない粘り腰(?)を見せる。

人の好意などに対して、めったにないことと感謝するさま。

但し、語釈をまっすぐに受け取っちゃだめだと思う。「滅多にないことというわけじゃないから、ありがとうとは言わずにおこう」なんてことを考えると、きっと人間関係がおかしくなる。

ところで大辞泉。付属のDVDには「蟻(あり)が鯛(たい)なら芋虫(いもむし)ゃ鯨」という項目がある。紙版の方にはないようだ。

「蟻が十なら芋虫ゃ二十歳」は、DVD上にも紙面にもないみたいだ。

詩集 ありがとう

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福福 ありがとう飴15個入り

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