そんなことがあろうとは想像もしたことがなかったな。『明鏡』から引く。
ミノガ科のガの幼虫。小枝や葉の小片を口から吐く糸でつづり合わせ、袋状の巣を作る。雄は羽化してガとなるが、雌は巣の中で一生を過ごす。
知らなかった。
もんしろちょうとみのむしの話 (幼年版 ファーブルこんちゅう記)
『世界大百科事典』にはもう少し詳細な記述がある。
雌雄ともに翅をもつもっとも原始的なタイプは少なく,大部分は雌は翅が退化し飛ぶことができない。無翅の雌のなかには3対の脚のあるものと,脚の退化したものがある。
なるほど。雌が巣の中で一生を過ごすのは「進化」であったのか。
すると気になるのが繁殖だがどうなっているのか。これも『世界大百科事典』から引く。
雄は昼間活発に飛び回り,雌の放出する性誘引物質によって,雌に到達し,交尾する。翅の退化した雌のなかには,みのの外に出て雄を待つタイプと,一生みのから出ないで,雄の飛来を待つものとがある。交尾を終わった雌は,おもにみのの中に産卵し,みのから出ない雌はそのまま中で死ぬ。
なるほど。強固な蓑の中にいる方が外的に襲われることも少ないという「進化」なんだろうか。
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Wikipediaによれば、そういう「進化」を経ても、寄生虫にやられて大幅に減少しているのだそうだ。
オオミノガを初めとして日本ではミノムシは広く見られる一般的な昆虫であったが、1990年代後半からオオミノガは激減している。原因は、オオミノガにのみ寄生する外来種のヤドリバエ亜科のオオミノガヤドリバエ (Nealsomyia rufella) である。
「寄生」が発生する原因が雌の「進化」にあるのなら、あるいはまた次なる進化を遂げることもあるのかもしれない。
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追記:8月26日。千鳥ヶ淵あたりを散歩しているとミノムシを発見。一応、まだいるのだな。