『ベネッセ表現読解国語辞典』の「口」をみてみた。
その中に「扶養する人数」という意味での「口」があった。用例は「口が多いので家計が苦しい」などだ。
そう。確かに「口」にはそういう意味がある。そしてその意味で使う、ちょっと怖い言い回しが数多く伝えられている。
- 口が過ぎる
食わせなくちゃいけない人が多すぎて困っているのだ。戸主夫婦が深夜に「うちも口が過ぎるね」などと話をして行く末のプランニングをする。 - 口が減らない
当然独立するものと思っていたところがパラサイト(古い!)になったり、引きこもりになったりする。減らないものは減らせと、さまざまな「口減らし」策を考慮することになる。 - 口は禍のもと
賑やかで楽しく暮らしていると思ううちに、いつの間にか骨肉の争いになったりする。家族計画の大事さを言う言葉だが、家族計画は、なぜかうまくいかないものということになっている。 - 口減らし
減らぬなら減らしてみようということで、どうかして口を減らす。一般的に用いられた言葉だが、直接的すぎる表現となったのか、徐々に「口を切る」や「口を酸っぱくする」が用いられるようになった。 - 口を切る
方法についてはとくに言及しない。ひどい方法で口を切ったんだけど、それをぼかしていう言葉。他人が「口を切った」と発言した場合、突っ込んで確かめないのがマナーとされる。 - 口を酸っぱくする
腐ると酸っぱいにおいがする。息をしないようにするということを遠回しに表現したものだ。 - 口を叩く
叩かれた結果は運次第。状況によっては「酸っぱく」なったりもするだろう。叩くことで直接決着をつけなくても、叩かれた側は居場所を失い、その後のふるまいを考えることとなる。 - 口を封じる
封じられてはそこまでだ。
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こういう恐ろしい言葉がそのまま載っている。辞書と云うのは歴史の生き証人なのだ。
民俗学などの知見から振る舞い方を勉強しておくのがよかろう。
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