気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「行幸」という言葉は、ダジャレから生まれたのか?

歴史秘話ヒストリア」の「明治の京都へおこしやす ~千年の都 復興ものがたり~」を見た。中で、京都から東京への首都移転は「遷都」ではなく「行幸」に名を借りて行われたと指摘。

京都の謎 (東京遷都その後) (祥伝社黄金文庫―日本史の旅)

京都の謎 (東京遷都その後) (祥伝社黄金文庫―日本史の旅)

まあ、そういう話はよく聞く話。実際上、首都が東京なのであれば、まあ「どうでも良い」話ではある。

ただ、「行幸」の意味を国語辞典で見てみたくなった。『岩波国語辞典』第七版・新版と『新明解』第七版、あるいは『三省堂国語辞典』第六版は全く同じ語釈。

天皇のお出まし。みゆき。

広辞苑』第六版も同じような感じ。親切なのは『大辞泉』第二版かな。

天皇が外出すること。行く先が2か所以上にわたるときには巡幸という。みゆき。

なるほど。一か所を目指していく場合しか「行幸」と言わないわけか。 

ところで『日本国語大辞典』の語誌欄に変な記述がある。

(1)「幸」のみで「行幸」の意味がある。天子がお出ましになると、その地方の人々は食帛を賜い、爵祿を与えられ、田租を免じられるなどの僥倖を得るからという〔蔡邑‐独断〕。

ほんとかよ、それ。そう思っていろいろみると、『日本大百科全書』にも、ちょっと似た記述がある。

天子の行く所、万民が恩恵に浴するので「幸」というと古書にみえる。

これはまあいい。 確かに「幸」という文字は使いたくなるだろう。でも「僥倖だから行幸」って、それは本当かなあ? すごく疑問だ。

だじゃれ日本一周

だじゃれ日本一周

Wikipediaも見てみた。 「行幸にちなむ名称」という欄がある。

聖蹟桜ヶ丘駅:東京都多摩市。「聖蹟」は「行幸の地」の意。明治天皇行幸から。

へえ。ずいぶんバタ臭い感じだけど、そうだったのか。知らなかった。

京王電鉄まるごと探見 (キャンブックス )

京王電鉄まるごと探見 (キャンブックス )