『大辞泉』第二版の定義では、セクシーでもなんでもない。「鼻の穴の中に生えている毛」。載っている語釈はこれだけ。
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但し、「鼻毛」を含む慣用句はいろいろと掲載している。曰く「鼻毛を伸ばす」、「鼻毛を抜く」、「鼻毛を数える」、「鼻毛が長い」、あるいは「鼻毛を読む」など。
あまり使ったことがないものばかり。意味もちょっと一回転してからじゃないとわからない。たとえば「鼻毛を伸ばす」の例文を、やはり『大辞泉』から見る。
「若い女性とみると鼻毛を伸ばす」
鼻毛の出てる男というのは、ある種、女性からバカにされる存在の代名詞。そんな中、若い女性をみつけて鼻毛を伸ばすことにどんな意味があるんだろう。
実はこれ、「鼻毛を伸ばす」を直接的に解してはいけない。「鼻毛を伸ばす」=「だらしない」=「女にだらしない」ないし「他のことにだらしなくなるほど女に夢中になる」という意味であるようだ。
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なるほどと思った。ただ、『日本国語大辞典』や『広辞苑』第六版によれば、そもそも「鼻」に、『大辞泉』の慣用句で表現するような意味があるのだそうだ。
(1)鼻孔中に生える毛。
(2)愚者。ひとりね「よくよくの—は知らず、物いひ習ひ、かなぞうし一、二冊よめるものは」
(3)女に甘いこと。また、その者。浄瑠璃、ひらかな盛衰記「こなたの—を見抜いた計略」
「愚者」と「ひとりね」が 一緒くたにされているのも面白いけれど、ともかく「鼻」にこんな意味があるのは知らなかった。「鼻がでかい奴はスケベだ」なんて言い回しはあったようにも思うけれど。
ちょっと『広辞苑』での三番目の例文がわかりにくい感じなので『日本国語大辞典』からも引いておこう。
談義本・当世下手談義〔1752〕三・娯足斎園茗、小栗の亡魂に出逢ふ事「扨も小栗は、是程の鼻毛(ハナゲ)とはおもはなんだ。〈略〉女房の形を、三拝してきざんだとは、日本に二人ともなき大淫気(おおたわけ)」
「女にだらしない」という意味だけではなく「女好き」という意味もあるのかな。もしかすると双方は同義に扱われているのかもしれない。
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いずれにせよ、鼻には意外に色っぽい意味があるわけだ。
でも「おまえ、すごい鼻毛だな」で「女ったらしだなあ」とか「女好きだな」という意味に受け取ってもらえるとも思えないな。
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