「しどろもどろ」という言葉がある。『新明解』第七版には「古風な表現」とあるが、今でもよく使うように思う。
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「シドロとモドロ」は知らないが、「しどろ足」という言葉もある。すなわち「しどろ」だけを単独で使うこともあるわけだ。『明鏡』で確認しておく。
しどろ
〖形動〗 秩序なく乱れているさま。「―に乱れた髪」
では「もどろ」はどうだろう。同じく『明鏡』をみてみると、「もどろ」には補助的な役割しかないように読める。
しどろ‐もどろ
〖形動〗 ことばや話の内容がひどく乱れるさま。「―の答弁」>「しどろ」を強めていう語。
強めるというのは、言葉の調子を整えただけとかそういう意味なんだろうか?
実はそうではなく、「もどろ」にも意味がある。「もどろかす」なんていう動詞から来ているようだ。
もどろか・す【斑かす】
〖他四〗
(1)斑(まだら)にする。枕草子(119)「すり—・したる水干といふ袴を着せて」
(2)まどわす。今昔物語集(4)「国王より始めて民に至るまで心を—・し」
すなわち『明鏡』の「強めていう」というのは、「言葉の調子を整えた」という意味ではなく「乱れる」という意味の「しどろ」に「まどわす」という似た意味の語を重ねたということだったわけだ。
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ところで。本題から離れるが「もどろ」とは「斑」とかくのか。これは火山岩の「斑状組織」に出てくる字だ。あるいは光合成の実験をするときの「斑入り(ふいり)の葉」というところにも出てくる。
いずれも「まだら」という意味。なぜか昔から、この「斑」という字が大好きだ。そのわりに、「しどろもどろ」が「しどろ斑」であることを知らなかったけれども。
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