時代物の空想小説(「歴史小説」に対して「時代小説」というのだそうだ) に興味を持ったことはない。
確かこの『剣客商売』はKindleの日替わりセールで入手したものであるはず。あまりの安さについ購入したりすることも多い。
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読んでみると、いろいろと耳慣れない言葉も出てきて、面白そうな単語を探すという目的でもずいぶん楽しめそうだ。時代の中で意味が変わったらしい言葉なんかも出てくる。
via 『剣客商売』 http://t.co/tILNWVhUY4 「芸者といえば、むかしは武芸にすぐれた者の呼び名だったものだが……それが、いつしか踊り子の呼び名となる。いつの間にか、知らず知らずにそうなるのだから、おどろくほかはない」
— maeda hiroaki (@torisan3500) September 13, 2013
なるほど。確かにそれはあり得ることだ。ただ、残念ながら最近の小型辞典では確認できない。『明鏡』をみてみた。
げい‐しゃ【芸者】
〖名〗 歌舞・音曲などで宴席をとりもつことを職業とする女性。芸妓(げいぎ)。
『新明解』はこれに「遊芸がうまい人」という意味を加えているが、「武芸」はさすがに「遊芸」ではあるまい。
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古い言葉らしいからと『古語大辞典』を見ると「芸能に秀でている者」と書いてある。「芸能」と「武芸」は異なるもののように思うがどうか。
げいのう【芸能】
〖名〗(1)習得して身につけた芸。技芸。「(相撲ハ)昔は雌雄を決して芸能現るるにつきて、昇進をも仕うまつりしかば」〈著聞集・相撲剛力〉
とある。例の中に「相撲」があるところを見れば、「武芸」も「芸能」に入れて良いのだろう。「むかしは武芸にすぐれた者の呼び名だった」というのも正しいことであるようだ。
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ところで「芸者」に似た言葉(?)で「芸達者」という言葉がある(立項していない辞書も多い)。
『広辞苑』第六版はこんな感じ。
げい‐たっしゃ【芸達者】
様々な芸を器用にこなす人。
う~ん。これはどちらかと言うと「遊芸」をこなす人っぽい。
まあ『広辞苑』は「芸」を「修練によって得た技能。学問。わざ。」と定義しているので、決して「遊芸」に達者であることを意味しているのではないのだろう。でも現代の感じでいえば、やや人を面白がらせる「芸人」という雰囲気があるな。
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そのようなニュアンスで受け取られることを嫌ったか、『日本国語大辞典』では次のようになっている。
げい‐たっしゃ【芸達者】
(形動) (「げいだっしゃ」とも) 芸術や遊芸の技能に熟達していること。また、その人やそのさま。
こちらの方が誤解を招かないと思う。
ところで池波正太郎の代表作である『鬼平犯科帳』。古今亭志ん朝による朗読CDなどがあるんだそうだ。ちょっと欲しいな。
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