気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「束の間」は、約7.7センチメートル

「束の間」ってのはどのくらいの間なんだろう。「束の間の休息」は、それなりに休めるのか、それともほとんど休めないのか。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲全集/つかの間の幻影

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調べてみると、実はこの「束の間」、7.7センチメートルほどなのだそうだ。空間概念を時間概念として利用しているので何とも言えないけれど、思ったよりは長いかな。

『新明解』第七版で「束の間」を見てみる。

つかのま【束の間】
〔「束」は、もと、握りこぶしを作った時の、四本指の幅で計った長さをさした〕わずかの間。

そして『日本国語大辞典』で「束」を見ると次のようにある。

そく【束】
〖名〗(3)矢の長さをはかる単位。親指を除いた四本の指の幅。一にぎり分の長さ。約二寸五分(約七・七センチメートル)。

たとえば「家の壁に束の間の隙間がある」(もちろんこんな使い方はしないと思う)といえば、7.7cmも隙間があるんだ。風や雨はもちろん、猫だって入ってくる。文脈にもよるけれど、結構な幅だな。 

ちなみに『角川類語』辞典で類語を探すと「時の間」とか「瞬く間」なんて言葉にならんで「ちょっくら」という言葉も載っている。用例は「ちょっくら行って来るよ」。なんとなく、素敵だ。

ところで、落語によく出てくる「いっそく」(「子褒め」等)の「そく」も「束」の字なのだそうだ。落語の場合は「百」のことを「一束」と言っているが、文脈によりいろいろと変化するらしい。

「なんでもあり」っぽく、『日本国語大辞典』での語釈は長いけれど、先に引いた部分も含めて一部を引いてみる(用例は省いた)。

そく 【束】
〔名〕
〔一〕物を数える単位。
(1)稲など一〇把をひとまとまりとしたもの。
(2)半紙一〇帖、すなわち二〇〇枚をいう。
(3)矢の長さをはかる単位。親指を除いた四本の指の幅。一にぎり分の長さ。約二寸五分(約七・七センチメートル)。
(4)射芸で、蟇目(ひきめ)の矢二〇本のこと。
(5)薪炭、竹材などの容積にいう。
(6)板、貫、小割などの木材の材積単位。四分板は二・五坪分、六分板では一・五坪分。
(7)釣りで、一〇〇尾をいう。「ハゼ五束」

〔二〕江戸時代、商人などが用いた一、十、百、千などの数をいう符牒。
(1)一をさす。
(2)十をさす。
(3)百をさす。多く、寄席などの客の数についていう。
(4)千をさす。多く、金銭の一〇〇〇文すなわち一貫をいう。

 「百」に「そく」という読みはないがなあと不思議に思っていたんだけど、謎が解けた。

書道半紙 1000枚入り 練習用

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