「金堂」というのは固有名詞なのだと思っていた。
情けない。どの辞書にも載っている一般名詞だ。『広辞苑』第六版を引いておこう。
こん‐どう【金堂】
寺院で、本尊を安置する仏堂。伽藍の中心をなす。堂内を金色にすることからこの名が付けられたという。本堂。
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但し、中を金色にしたからというわけではないという話もあちこちに書かれている。たとえば『日本大百科全書』は、「中が金色」を真っ向から否定する。
七堂伽藍(がらん)の中心となる堂舎で、本尊仏を安置してある堂をいう。一般にいわれる本堂や仏殿に相当する。堂内が金色に塗装された堂という意味ではなく、金色(こんじき)の仏像を安置したので名づけられたのであろう。
また、『日本国語大辞典』には次のようにある。
一説に、仏を金人というため、本尊仏を安置した堂をこのように名づけたともいう
ちなみに、この『日本国語大辞典』にはちょっと嬉しくなる記述があった。
平安中期頃までは、本尊を安置する堂を一般に「金堂」と称していたが、以後は「本堂」と呼ばれるようになっていった。
よくわからないが、もしかすると一般名詞としては「本堂」の方が多く用いられるようになっていたのかもしれない。 つまり「金堂」を固有名詞と思ってしまう勘違いも許されるのかもしれない…(そんなことはないか)。
ところで。まずは自分の無知に驚いたんだけど、『数え方の辞典』を見てさらに驚いた。これは、きっと「その道の人」しか知らないんじゃないかな(そんなこともないかも?)。「金堂」の数え方。
宇 (う)
数え方のポイント
「宇」は堂(金堂・持仏堂・鞘堂 (さやどう) など)を数える語です。
これは全く知らなかったなあ。
たとえば飛鳥寺には金堂が3つあるらしいから、正確にいえば「飛鳥寺には3宇の金堂がある」なんていうんだな、きっと。
ちなみに『広辞苑』第六版で「宇」を引いておこう。
う【宇】
(1)ひさし。のき。屋根。また、家。
(2)建物を数える語。「仏堂1—」
もっとちゃんと調べるといろいろと面白い発見ができそうだな。
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