なぜこれまで気にしなかったのか不思議。「おでん」は漢字で「御田」と書くのだそうだ(Google日本語入力では変換できない)。
注:『新明解』や『岩波国語辞典』などには漢字表記はない。
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辞書を見ると由来もいろいろ書いてあるんだけどよくわからない。たとえば『広辞苑』第六版から全文を引いてみる。
お‐でん【御田】
(「でん」は田楽(でんがく)の略)
(1)田楽豆腐。
(2)(煮込田楽の略)蒟蒻(こんにゃく)・豆腐・里芋・はんぺん・つみれなどを醤油味で煮込んだ料理。関東焚き。関東煮。(季語)冬。「—屋」
「田楽」の略と言われても困る。たぶん食べ物の田楽のことなんだろうが、もしかすると芸能の田楽かもしれない。そもそも食べ物の田楽はなぜ田楽と言うのだろう。田楽を略したものがなぜ「おでん」に結びつくんだろう?
よくわからないので『日本国語大辞典』を見てみる(用例略)。
お‐でん 【御田】
(「お」は接頭語。豆腐の串焼きが、田楽(でんがく)で高足に乗っておどるさまに似ているところからという)
(1)田楽豆腐のこと。また、特に焼いた豆腐に木の芽味噌(みそ)をぬって食べる木の芽田楽をいうこともある。
(2)蒟蒻(こんにゃく)を串にさし、味噌を塗りつけた田楽。
(3)煮込みおでん。蒟蒻、豆腐、芋、はんぺん、がんもどきなどを煮込みにしたもの。関東煮。《季・冬》
なるほど、ちょっと見えてきた。すなわち芸能としての田楽から豆腐田楽が生まれ、そしてそれが変形しておでん(御田)が生まれたわけだな。
いろいろ見て回っていると、『世界大百科事典』にも書いてある(部分引用)。
19世紀初めころからみそをつけて焼く本来の田楽に対し,その変形である煮込み田楽を〈おでん〉と呼ぶようになったようである。…〈上燗〘じようかん〙おでん〉の看板をかかげる屋台のおでん屋が江戸市中に多くなったのは幕末ごろのこと…
今のおでんに変化したのも、結構古い話であるようだ。
それにしても、これまでおでんの語源など気にせずにいたのは不思議だな。何度か調べて忘れてしまっただけかもしれないけれど。