気になる言葉 on 国語辞典

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「にべもない」の「にべ」というのはスズキ目ニベ科のお魚さんのこと

恥ずかしながら知らなかった。「にべもない」の「にべ」というのは魚のことなんだそうだ(語釈引用は『日本国語大辞典』)。

にべ(漢字略)
〔名〕
〔一〕スズキ目ニベ科の海産魚。全長約八〇センチメートルに達する。体色は灰色で、体側にうろこの列にそった淡黒色の点列がある。よく発達したうきぶくろをもち、その付随筋で音をたてるところから鳴く魚として知られる。東北地方沿岸から東シナ海にかけて分布。旬は冬で、刺身・塩焼き・かまぼこの材料とする。にべうお。

てか、この「にべ」という魚自体を知らないな。 で、その「にべ」の浮袋などを原料にした「にべにかわ」ってのがあるらしい。

(上に引いた魚の)うきぶくろから製する膠(にかわ)。鯉、鰻(うなぎ)、鮫(さめ)などのうきぶくろからも製する。粘着力が強い。工業用・薬用・食用。にべにかわ。

だから「にべもない」というのは、「くっつくところがない」すなわち「親しみがない」ということなんだそうだ。ところで「にべもない」を漢字でかくと「鰾膠無」となるらしい。

強調語には「にべもしゃしゃりもない」というのがある。

にべ も しゃしゃりもない
(「しゃしゃり」は粘りけなくさらりとしていること)
ねっとりした味もさっぱりした味もない。愛想もそっけもない。思いやりがない。にべない。

「にべ」ってのは「毫」のように、何か量的な意味を持つ言葉なのかと思っていた。 

ついでに下は『ABCびき日本辞典』より。

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