『大辞林』第二版に「わかればなし」を見つけた。
わかればなし【別れ話】
夫婦や恋人の間で起こる、別れることについての話し合い。また、その話。
なんだか「ヒトゴト」の感じがする。「起こる」というのが、きっかけがどこかからやってきて、勝手に発生するような言い方だし、また「別れることについて」という言い方もやはり他人事。
「野村(仮名)、別れるんだってさ」と言っても「別れ話」に該当しそうだ。
たとえば『大辞泉』第二版はもっと熱い。
わかればなし【別れ話】
夫婦・恋人などが、別れるためにする話し合い。また別れる話題。
「別れるため」にするのだ。「別れない」とか、「お互いに納得する」という選択肢はない。
この点では『岩波国語辞典』第七版・新版もおさえておきたい。
夫婦や恋人の関係を解消することについての話合い。また、その話。
こちらは「解消することについて」の話なので、別れるか別れないかは、話次第なのだ。しかしそのように「ヌルイ」ことを言っているのは『岩波国語辞典』のみであるらしい。
ところで「わかればなし」は「夫婦」ないし「恋人」限定だろうか。『新潮現代国語辞典』は違う。
わかればなし【別れ話】
夫婦・愛人などの間で起る、別れてしまおうという話。
まあ「愛人」には「恋人」も入るようだが「世間から非難されたり自ら隠したりする間柄の恋人」(同)も含まれるわけで、少々幅を広げていると言えそうだ。
だが「幅」といえば、一番トラディショナルなものと考えがちな『日本国語大辞典』の提示する幅が最も広いのかもしれない。
わかれ‐ばなし 【別話】
〔名〕 別れようとして話し合うこと。また、その話。特に夫婦・恋人などの男女間で起こるものにいう。
「特に男女間」ということで、しっかりと最近の傾向にも配慮を示している。
話は変わる。
「別れ」を扱う歌の中で印象に残るのはなんだろう。途(みち)に倒れながら人の名を呼び続ける「わかれうた」(中島みゆき)もすごい。「何度も別れて」また付き合う「涙のバースデー」(ハウンドドッグ)も中高生の青春っぽいのかもしれない。
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しかし個人的に衝撃を受けたのは「がんばれ、タカハシ!」だ。
ごらんよ楽しげな恋人達
いつかはきっと別れるさ
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ちなみに『大辞林』。もしかすると読んで一番楽しい辞書なんじゃなかろうかなどとも思ってる。いつかじっくり読みたい。なかなか果たせずにいて、おかげでうちにあるのはまだ第二版だ。