気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

ウスターソースは「普通」のソース。でも何と比べて「普通」なのだろう?

三省堂国語辞典』の第四版で「ウスターソース」を見た。見出しは「ウ(ー)スターソース」になっている(「ウスターソース」はそちらへの空項目)。

ウ(ー)スターソース
【名】〔← Worcestershire sause〕
いちばんふつうの、黒っぽいソース。

これで全部だ。「ふつう」が気になってしまう人が多いのではなかろうか。

光食品 有機ウスターソース 250ml

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我が家にはとんかつソース(中濃ソース)はあっても、ウスターソースはないような気がするな。

そんなことを思いながら最新の七版を見てみた。第七版では「ウースター」が「ウスター」への空項目となっている。

ウスターソース
【名】〔← Worcestershire sause〕
しょうゆのようにさらっとした、黒っぽいソース。ウースターソース。〔もと、イングランドの旧州ウスターシャーで作り始めたことから〕

「ふつう」がなくなっている。するとやはり、昔はウスターソースが普通だったものの、だんだんと中濃ソースなどにその座を奪われてきたということか?

どうやら違うらしい。

日本国語大辞典』を見てみる。

ウースター‐ソース〔名〕
({英}Worcestershire sauce から)《ウスターソース》英国ウースターシャー州原産のソース。日本では、普通これを単にソースという。

ウスターソースにいう「普通」は、「とんかつソース」とくらべてのことではなく、たとえば「ベシャメルソース」などとの比較の意味であるようだ。

なるほどなあと思っていると、Wikipediaに答えがあった。

日本の行政上では、狭義の「ウスターソース」とともに「中濃ソース」や「濃厚ソース」(とんかつソースなどを含む)もまたウスターソース類として扱われており、それぞれ粘度が定められている。

そうだったのか。「普通じゃないよ!」と声高に主張しなくてよかった。

粘度の高いとんかつソース(濃厚ソース)は、1948年に神戸の道満調味料研究所(現:オリバーソース)によって発明された。また、中濃ソースは1964年にキッコーマンから発売されたものが最初である。

 でも『新明解』第七版などは、やはりあっけなく定義してあって、これは誤解を招きそうだなと思う。

ウースターソース 〔← Worcester(shire)〘=イングランドの州名〙sauce〕しょうゆに似て黒っぽい、普通のソース。ウスターソース

ソース・バイブル

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ウスターシャーというのはこの辺りらしい。