日経新聞の読書欄で『盆栽の誕生』という本が紹介されていた。評で使われていた「盆山」という言葉を聞いたことがない。
鉢植えで樹木を育てる「鉢木」、石に樹木を根付かせる「盆山」。鎌倉時代に発祥した2つの園芸文化が、江戸時代に「盆栽」として流行する via #日経新聞。「盆山」という言葉を知らなかったな http://t.co/vJt1mhjApi @さんから
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 5月 18
『岩波国語辞典』、『新明解』、あるいは『三省堂国語辞典』などにはない言葉であるようだ。『精選版 日本語国語大辞典』から一部を引く。
ぼん‐さん【盆山】
〖名〗
(1) 庭などに砂礫(されき)などを積んで築いた小さい山。また、庭などに置く山の形をした石。
(2) 箱庭・盆栽などに造った山。盆景の山。
「ぼんさん」という読みもなかなか面白い。心理学の「箱庭療法」を「ぼんさん療法」と言い換えることが可能かどうか。
ところで『広辞苑』は「盆石」にリンクが張られている。「盆石」を引こう。
ぼん‐せき【盆石】
盆の上に自然石や砂を配置して風景を創作し、その風趣を味わうこと。また、その石。室町時代から茶の湯・生花などと共に行われ、多くの流派・法式がある。江戸時代、箱庭として普及。盆景。
ジオラマみたいなものか。
と、思って『日本大百科全書』などを見るとまた違うことも書いてある。
平安時代になると、庭園を縮図化した盆養(ぼんよう)が愛好されるようになった。これは現在の石付き盆栽のような形式のものである。鎌倉時代に、中国から禅宗が入ると、簡枯洒脱(かんこしやだつ)の禅特有の自然観から、庭園は水・樹木・土が省略されて「枯山水」の庭ができあがっていったように、盆養においても水・樹木・土の省略が行われ、ここで盆石の祖景ができあがった。
なるほどなあ!
と、少しわかったようでいて、まあ、あまりよくわからない。そういう趣味が今でも盛んなのかとAmazonを見てみた。結構、商品が見つかるじゃないか。
こちら、お値段が810万円(送料600円)。素敵だ。「盆栽」も、もちろん「盆山」も「盆石」もよくわからない。しかしそうした趣味がアクティブなものとして存在していることを知ることができて幸せだった。