読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

実際の「狼」がモデル(?)の「送り狼」

「送り狼」はもともと比喩的表現なのではないという話は、遠い昔に聞いたような気もする。

実は上の『広辞苑』も十分に遡りきれておらず、『日本国語大辞典』をみてみる。

おくり‐おおかみ[:おほかみ] 【送狼】
〔名〕

(1)道行く人の前後についてくると考えられた狼。全国的な伝承で、群狼から旅人を守ってくれるという話と、転ばずに歩けば必ずしも害を加えないが、転べば食いつくという話がある。送りおおかめ。おおかみ。

(2)(転じて)人のあとからついて来て、害を加えようとする人間。特に若い女性を親切らしく送って行って、機会があれば誘惑しようとする男性にいうことが多い。送りおおかめ。おおかみ。

「転ばずに歩けば害を加えないが、転べば食いつく」ってのが「伝承文学」な感じで面白い。

ちなみに広辞苑の語釈の最後にある「狼れん」 は「狼連」のことであるようだ。『広辞苑』にはない。『日本国語大辞典』から引こう。

おおかみ‐れん[おほかみ:] 【狼連】
〔名〕

(狼はすきがあれば獲物に飛びかかろうとするところから)

女性に対してみだらな心をいだいて、いつもつきまとう人々。

「なんとか連」という言い方は、落語などでたまに耳にする。その言い方はわりと最近まで一般的だったんだろう。それで『広辞苑』は説明の必要を感じなかったのだろうと想像する。しかしせめて「連」は漢字で書くべきじゃないか。

「天狗連」とか「どうする連」は広辞苑にも発見できた。

てんぐ‐れん【天狗連】
自らその道の達人とうぬぼれている連中。

「どうする連」も載せておこう。

どうする‐れん【どうする連】
女芸人をひいきにして足しげく通う連中の称。明治時代、東京で娘義太夫を聞きに通う連中が、節まわしのよいところで、「どうするどうする」と叫んだのに起こる。

他に「有難連」「贔屓連」なんてことばもある。

「どうする連」という言葉は「寝床」だとか「くしゃみ講釈」の枕で使われるんだったかな。落語の掛け声というわけではないと思う。