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気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

闘う辞書たち ― ネーブルオレンジの「臍」は膨らんでいるのか凹んでいるのか

三省堂国語辞典』は「オレンジ」を「ネーブルに似ている」と定義している。個人的には「ネーブル」よりも「オレンジ」が身近で、「ネーブル」がよくわからない。もちろん「ネーブル」を引いてみる。

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「へそのようなくぼみ」があるんだそうだ。きっと食べたことがあるはずなんだが、しかしよくわからない。

 そこで『大辞泉』を見てみると、まるで逆のようなことが書いてある。

ネーブルnavel
《へその意》ダイダイの一品種。果実は球形で、上部中央にへそ状の突起がある。果肉は甘く、香りがよい。ブラジルの原産。へそみかん。ネーブルオレンジ。《季 春》

「くぼみ」じゃなくて「突起」があるんだそうだ。なんだそりゃ、デコポンか? 語源由来辞典にも「上部中央にへそ状の突起がある」とある。

「くぼみ」派の『三省堂国語辞典』と、「突起」派の「その他」といった感じか。『広辞苑』や『明鏡』なども「突起」と記している。

そこで、画像を検索してみるとまあ納得した(たとえばこちらの写真がわかりやすい)。確かに「へそ」のようなものがある。ミクロにみれば「突起」と呼べないこともないかもしれない。でも普通は「くぼみ」と表現しそうだな。

個人的には『三省堂国語辞典』に軍配を上げたい。

尚、「闘い」を回避して「うまく」表現している辞書もある。たとえば『日本国語大辞典』だ。

ネーブル
〔名〕
({英}navel orange から)《ネープル・ネーヴル》

ミカン科の常緑低木。ブラジル原産でアメリカ、ブラジルとともに日本でも重要柑橘として栽植されている。果実は球形 または卵円形で頂に「へそ」のあるのが特徴。果皮は黄橙色で薄く、ほぼなめらか。果肉は一二室ぐらいに分かれ、芳香があり液汁が多く甘酸っぱい。生食や ジュースにされる。へそかん。へそだいだい。へそみかん。学名はCitrus sinensis var. brasiliensis 《季・春》

でっぱっているのか、ひっこんでいるのかを書かない。ただ「臍のようになっている」と記すのみ。さすがに日本唯一の大型国語辞典。大人の対応と言うべきかもしれない(?)。