辞書をめくっていて「怪盗」に出会った。標準的なのは『広辞苑』だ。
かいとう【怪盗】
神出鬼没で正体をつかませない盗賊。
まあそんなところだろう。
ただまずは『三省堂国語辞典』でちょっと笑った。
かいとう【怪盗】
(名)
あらわれてはうまくにげる盗賊。
なるほど。確かに「三越に怪盗が忍び込みましたが捕まりました」なんてふうにはあまり言わないかな。怪盗は「うまくにげる」のが必要条件かもしれない。
で、少々驚いたのが『新明解』。
かいとう【怪盗】
神出鬼没であったり手口が巧妙であったりして、胸がすくような感じを与える盗賊。
まあ、そりゃそうかもしれない。「胸がすく」のは、「怪盗」の属性として正しいかもしれないな。しかし国語辞典でそれがありかなあと考えこんだり。
ただ、「怪盗」の語釈に肯定的な言葉を記すのは『新明解』だけじゃない。意外なところから『ベネッセ表現読解国語辞典』が存在感を示す。
かいとう【怪盗】
名詞
手口が見事で、正体がわからない盗賊。
「見事」なんだな。
こういうところに、国語辞典の「無味乾燥でないところ」(ひとことではなんと表現するのだろう?)があらわれていて面白い。
ところで「二十面相」はしばしばつかまるから「怪盗」じゃなく「怪人」なのかな…?