ふつうは驚かないのかもしれない。でもぼくはとても驚いた。
「ストッキングが伝線する」の「伝線」。これは比喩ではなく、ほぼストッキングのためだけにある言葉のようなのだ。
ぼくは「伝線」という言葉があって、それがストッキングのほころびを示すように転用されたのだと思っていた。
しかし上に載せた写真(新明解)を見ても、他の言葉から転用されたようではない。「ほんとかよ!」と叫びつつ、ここはやはりと『日本国語大辞典』をみる。
でん‐せん 【伝線】
〔名〕
婦人の靴下などが線状にほころびること。
婦人の「靴下」という表現に『日本国語大辞典』らしさを感じるが、そう感じさせながらもやはり「伝線」はストッキング(靴下)用の言葉なのだと主張する。
『広辞苑』でも同様だ。
でんせん【伝線】
ストッキングなどで、編んだ糸の1ヵ所が切れ、破れ目がひろがって線が入ること。
だれがなぜ、そんな「専用用語」を生んだのかなあと気になる。答えらしきものは『岩波国語辞典』にあった。
でんせん【伝線】〘名・ス自〙
〔俗〕女性のストッキングなどのほころびが縦の織り目にそって広がること。
▷「伝染」のもじり。
おおっ!「伝線」という言葉があって、それを比喩化したのではない。しかし「伝線」という言葉自体が「伝染」にインスパイアされて(?)生まれたものなんだ!
そういえば、ストッキングが伝線するのはメーカーの陰謀だという話もあったっけ…。
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