気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

新明解の「浮世」はさすがにちょっとやりすぎ^^

「うきよ」と読むのが一般的だけど、「ふせい」とも読むんだそうだ。『新明解』は双方の読み方で立項している。

「行き過ぎ」に思うのは「ふせい」のほうかな。

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上の写真にあるように「善き意志が必ず正統に報いられるとは限らず、むしろ悪の論理が罷り通るかに見える、この世」とある。

この語釈を見ると「うきよ」と読まずに「ふせい」と読めば、特別な意味が加わるのかなと思うんじゃないだろうか。

しかし、『新明解』の「うきよ」を見たり、あるいは他の辞書で「ふせい」を引いてみると、結局「ふせい」は「うきよ」のことであるらしい。すなわち『新明解』に記された「善き意志が」云々は「しゃれ」である様子。

『新明解』編纂者は「浮世というのは正義がねじ曲げられる世の中であるらしいですよ」と「批判的言及」をしているんだろう。

しかしこれはあまりに無駄に流れてしまっている感じ。語数を加えるなら「うきよ」と読むケースとの違いをたんたんと説明してほしかった。

『新明解』にはしばしばこうした「すべりすぎ」な「がんばり」が見える。

浮世草子集 (新編 日本古典文学全集)

浮世草子集 (新編 日本古典文学全集)