「やもめ」という言葉は知ってる。使ったことはないかもしれないけれど、「男やもめにウジがわく」なんて言葉は耳にしたことがある。
ただ、「男やもめ」を1語であらわす「やもお」という言葉をきいた、ないし目にした記憶がない。
恥ずかしながら、「やもお」という言葉を知らなかった。 via 三省堂国語辞典 #辞書 #国語辞典 pic.twitter.com/Y0svmFcMGP
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2017年4月8日
自らの不勉強をきちんと反省しないぼくはしかし、「やもお」なる語を「どうせ最近になってできた短命な言葉なんだろう」と信じた。
しかしそれもぼくの都合のよい考えであるらしい。小学館の『古語大辞典』で「やもめ」の語誌欄を見る。
やもめ【寡・鰥・寡婦】
(語義略)
語誌 語源未詳。「め」はやはり女の意で、「妻のいない男」は意味の拡大されたものである。日本書紀の訓「やもを」は、「やもめ」と対につくった新語であったろう。
たしかに「やもお」というのは比較的「最近」できた言葉ではあるようだが、その「最近」が日本書紀の訓を作った時代に遡るものの様子。
『日本国語大辞典』には、次の用例が掲載されている。
日本書紀〔720〕仁徳七年九月(前田本訓)「是を以て里に鰥(ヤモヲ)・寡(やもめ)無く、家に余の儲(たくはへ)有り」
ちなみに「日本書紀の訓」とか「前田本」については、たとえばWikipediaの「日本書紀」に記してある。
「やもめ」の男版は「やもお」。で、その言葉は(やもめに比べれば)新しい。しかし現在は一般的に(?)「男やもめ」というように思う。
「やもお」という「新語」があるのに、改めて「男やもめ」なんて言葉ができた理由はきっと面白いんだろうな(ぼくにはわからない)。
ちなみに英語でいうと、「やもめ」は「widow」、「やもお」(男やもめ)は「widower」だ。