ぼくは、とある外資系コンピューターメーカーが1000人採用を行ったような、そんなバブル世代の人間だ。「花金」(ハナキン)はもちろん「花木」(ハナモク)にも飲み歩き、そしてタクシー券で帰宅したりしていた。
「バブルの最中には今がバブルであると意識する人は少なかった」なんてことがよくいわれるけれど、それは違うように思う。身の回りには「おかしすぎる時代」だと考えている人が多かったように記憶する。
それはともかく。その「バブル」の語を辞書で引いてみた。
バブル崩壊を経て、しばしば「南海泡沫事件」に言及されたりもするので、ぼくは「バブル」とは「一般名詞」なのだと思っていた。
たとえば『日本国語大辞典』には次のようにある。
バブル
({英}bubble )
(1)泡。泡沫。あぶく。
(2)見せかけだけで実体がないもの。特に、相場や景気などが、投機によって、実態とかけ離れてふくれ上がること。「バブル経済」
これをみれば、「バブル」はあくまで一般的な経済事象をさす言葉で、一般名詞のように思える。
『広辞苑』も「近年の日本では、1980年代後半〜90年代初頭にかけて起こった地価・株価の高騰をいう」ということで、「バブル」を一般名詞として扱う。
ところが『新明解』などは思いきり異を唱える。
バブル〔bubble〕
泡。―けいき【―景気】日本において1986年から5年ほど続いた好景気。金余りが株・債権・地価の高騰を招くことによって生じた。
すなわち「バブル」は日本の経済現象についていうのだと断言している。
『岩波国語辞典』も「▷日本の1980年代後半、好景気に浮かれた地価高・株高の予想が実際に高騰を招いた現象の標語として、言い出された」とする。
「南海泡沫事件」の語がある以上、「バブル景気とは日本の経済現象を言うのだ」と断言するのもどうかとは思う。
しかし『新明解』や『岩波国語辞典』がここまで言い切る以上は根拠のある話なんだろう。
「バブル」とは「日本における」異常経済現象と理解しておくものなのかもしれない。
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