気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「きんしたまご」は「金糸」or「錦糸」?

先日はじめて「きんしたまご」を作った。ご満悦だったが、想定より分厚くなってしまった。「たまご1個を分けて焼くんだよ」と言われてなるほどと思った次第。まるまる1個では「きんしたまご」というより、卵焼きの細切りになってしまうものなあ。

錦糸卵 冷凍刻み 錦糸(業務用)500g
 

それはともかく。

「きんしたまご」にはどのような字を当てるかご存知だろうか。ぼくは「錦糸」だと思っていた。上のAmazonで売られている商品も「錦糸」だ。そう思いながら『日本国語大辞典』の電子版を見てみると載っていない!

日本国語大辞典』では「金糸卵」と書かなければいけないらしい。

きんし‐たまご 【金糸卵】
薄焼き卵を細く糸状に切ったもの。ちらしずし、冷し中華などにのせて彩りを添える。

「え、そうなの?」と驚きつつ、納得する部分もある。なぜに「錦」でないものを「錦」と呼ぶのだろうと考えていたからだ。「金糸」なら、卵の色を言っているのだろうと納得できる。

他の辞書はどうか。

  • 『新明解』や『明鏡』、『三省堂国語辞典』などは、『日本国語辞典』同様に「金糸」だけを認める立場だ。
  • 広辞苑』や『大辞泉」は「金糸」と「錦糸」の両方を併記している。
  • 『岩波国語辞典』は「きんしたまご」はおろか「金糸」ないし「錦糸」も立項していない!

何も知らないながらに考えて見るに、最初は「金糸」だったのかなあ。この字ならば「卵」の色にマッチする。そこから「錦糸」という書き方も生まれたんじゃないのかな。

ちなみに。『日本国語大辞典』には「金糸」および「錦糸」も立項されているのでみておこう。

きん‐し 【金糸】
(1)金色の糸。薄紙に金箔(きんぱく)を置いて細く切ったものや縒(よ)ったもの、銀・銅の針金に金着(きんきせ)したもの、絹糸・綿糸・レーヨン糸などの芯に金の切箔を縒りつけたものなど。金襴(きんらん)の織物、刺繍(ししゅう)、縫い取りなど種々の装飾に用いられる。金紗(きんしゃ)。金(きん)。
(2)漆芸の一種。堆朱(ついしゅ)に類似するが、深い彫り目に朱漆と黒漆の重なりによる筋が多く見える。
(3)沈香木の外観での分類名称。縦断面に樹脂分が(1)のように輝いて見えるもの。特に上質の新伽羅に見受ける。
(4)「きんしさい(金糸菜)」に同じ。

「錦糸」の方は短い。

きん‐し 【錦糸】
にしきの糸。

やはり「錦」でなく「金」かなあ、などと思う。ちなみに「錦」とは「数種の色糸で地織りと文様を織り出した」ものなんだと思っていることからの判断だ。

ただし、『日本国語大辞典』で「錦」を改めてみるととことんわからなくなる。

にしき 【錦】
(1)数種の色糸で地織りと文様を織り出した織物。経(たていと)で文様を織り出した経錦(たてにしき)と、緯(よこいと)で織り出した緯錦(よこにしき)がある。
(2)美しくうるわしいものをたとえていう語。
(3)秋の紅葉をたとえていう語。

むむ。「美しいもの」を「錦」と呼んでもいいのか。それならば「きんしたまご」を「錦糸卵」と呼んでも良いのかもしれないな…。

新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える!

新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える!