どこで覚えたのか、ぼくは「立ちん坊」とは「娼婦」のことを言うのだと思っていた(15年ほど前は、池袋から要町に向かう裏道にたくさんの「立ちん坊」がいた。今は知らない)。
ただ、辞書的にいえば「立ちん坊」=「娼婦」ではないようだ。
たとえば『日本国語大辞典』には次のようにある。
たちん‐ぼう[‥バウ] 【立坊】
〔名〕
(1)長い間立ちつづけていること。また、その人。
(2)明治〜大正初期の頃、坂道の下などに立っていて車の後押しなどをして金銭をもらった者。また、その程度の下級労働者。
(3)土木建築工事などの日雇い仕事に雇われようと、寄せ場で立って待っている人。
『広辞苑』、『岩波国語辞典』、『新明解』、『大辞泉』なども同じような語釈で、「娼婦」の意味を載せているものはない。
「立ちん坊」=「娼婦」で使うのは、勝手に思い込んだ間違った知識なのかなと思いかけた。しかし『三省堂国語辞典』でようやく「娼婦」という定義を発見することができた。
たちんぼ【立ちん坊】
(1)同じ場所に、立ったままでいる<こと/人>。
(2)[俗]まちかどに立って客引きをする売春婦。
良かった。勝手な妄想じゃなかったみたいだ。ちなみにWikipediaにも「娼婦のことをたちんぼと呼ぶこともある」と記されている。
「売春婦」の意味を載せていない辞書の方が多そうなのはとても意外だ。
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