気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

社会

いろんな辞書で「郵便」の変遷を見る

雪だしなあ。郵便も大変だよなあ。と、頭に浮かんだ「郵便」。別に面白おかしくはないんだけど、歴史の記録として。 みんなの郵便文化史―近代日本を育てた情報伝達システム 作者: 小林正義 出版社/メーカー: にじゅうに 発売日: 2002/03 メディア: 単行本 ク…

バレンタインデーは「流行」で、ホワイトデーは「イベント」であると看破する広辞苑

まあ世の中はバレンタインデー。いきなり本題ながら『広辞苑』第六版が素敵だ。 バレンタイン‐デー【St. Valentine’s day】2月14日。269年頃殉教死したローマの司祭、聖バレンタインの記念日。この日に愛する人に贈り物をする。日本では1958年頃より流行し、…

「知事」を引くと「現在は公選」とある意味は? 明治維新時代との比較かと思ったけどそんなわけはない。

「知事」など辞書で引くまでもなかろう。と、普通は思うけれど、なかろうところに面白いモノが隠れていたりもする。 ドキュメント副知事 猪瀬直樹の首都改造・一八〇〇日 作者: 西条泰 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2013/02/25 メディア: Kindle版 この…

昔の辞書になかった言葉といえば? ~ 「バブル」

昔の辞書が手元にあると、つい「昔はなかった言葉」など探してみたくなる。たとえば手元に79年の『岩波国語辞典』第三版と、2011年の『岩波国語辞典』第七版・新版がある。 岩波 国語辞典 第7版 新版 作者: 西尾実,岩淵悦太郎,水谷静夫 出版社/メーカー: 岩…

「インフルエンザ」とは、天体の影響により流行する伝染病のこと。

インフルエンザ。英語では一般的に「flu」などという。flewみたいに発音する。 What is the flu? - YouTube 辞書をみれば、「influenza」の短縮形だと書いてあるんだけれど、短縮して「flu」になるというのがどうも納得いかない。

「剥ぎ取り」は「しり押し」の対義語なれど、いまでも「しり押し」はあるのだろうか?

さすがにあまり立項している辞書はないようだ。手元の辞書では『新明解』第七版と『大辞泉』第二版くらい。下の写真は『新明解』。 「剥ぎ取り」込み合う電車・列車に乗り切れない客を、後ろから引っ張ってホームに降ろすこと via 新明解国語辞典 #辞書 #国…

破鏡:ロマンスを信じる『新明解』と、現実的(?)な『岩波国語辞典』

この両者はよく戦ってくれる。今回の戦いのテーマは「破鏡」(はきょう)だ。 10倍拡大鏡付きスタンドミラー 出版社/メーカー: アイメディア メディア: ヘルスケア&ケア用品 この商品を含むブログを見る よくあることなんだけど、『新明解』第七版は「ロマン…

「ボリビア多民族国」は「周辺国との戦争に負け続けた」ので、国土が最盛期の半分ほどしかない

地図帳を見ていた。地図帳というのは、小学生向け、中学生向け、そして高校生向けなど、いずれも「趣」があって面白いものだ。 新詳高等地図 (Teikoku’s Atlas)作者: 帝国書院編集部出版社/メーカー: 帝国書院発売日: 2012/10メディア: 単行本 クリック: 3回…

家で恋人と過ごすのは「デート」ではないのかどうか。あるいはデートの際の「エチケット」。

大学生の「デート」というと、やはり「外で」行うものなんだろう。個人的には出不精で(金も全くなかった)から、「デート」とは言っても、うちで一緒にレコードを聴いたり、本を読んだりすることが多かった。 それはそれで楽しかったんだけどな。 新東京い…

死語にすべき言葉というものがあるか(辞書が「わからないように」記述する言葉とは)?

今、話題になっている漫画。ぼくは小学生の頃に読んで、その場でモドしてしまったり、その後も何度も夜中に起きてモドしてしまったりした。ひとつの事象の受け取り方は人それぞれだ。 現代「死語」ノート (岩波新書)作者: 小林信彦出版社/メーカー: 岩波書店…

「ハガキ」はどうして「葉書」というの?

葉書はなぜ「葉」書というんだろう。昔は「葉っぱ」に書いていたからだろうか。 くまモンのポストカードブック作者: アスペクト出版社/メーカー: アスペクト発売日: 2012/12/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る そんなわけはない。

富岡製糸場で行われていたのは「製糸」業だが、「紡績」との違いはなんだ?

中学生の社会の問題集を見ていたら(趣味なのだ)、「富岡では国の肝いりで産業が興されましたが、行われたのはどんな産業でしょうか」という問題があった。 選択問題だけど、そんなもん「製糸業」に決まってる。 富岡製糸場事典 (シルクカントリー双書)作者…

「政党要件」が国語辞書にあるのは『デジタル大辞泉』のみかな?

昨日からニュースで何度も流れてきている。日経新聞の7月22日朝刊にも載っている。 みどりの谷岡氏は、2009年衆院選の太田昭宏公明党代表(当時)以来の党首の落選となる。1議席も得られず、政党要件を失う見通しだ。 現代日本の政党デモクラシー (岩波新書…

辞書にある「結婚」の定義を書き換える「ハッキング」活動

海外の話ではある。 こうした恣意活動が必要な時期は過ぎたんじゃないかと思ってた。結婚の定義を「男と女が結ばれる」という定義を「二人が結ばれる」と書き換えているんだと(図書館などの辞書にステッカーを貼っているのだそうだ)。 注:下のビデオ、冒…

「読み」いろいろ。

『漢字雑談』の本に、何度も繰り返し「百姓よみ」という言葉が出てくる。あまり愉快な言葉とも思えないので、そんなに使わなくてもと思った。 百姓よみ、とは字のつくり(旁、おおむね右側)の読みを全体の読みとすることである。百姓をばかにしたような言い…

「異次元」は、ない。

本稿のきっかけは『大辞泉』のFacebookページ。「異次元」って言葉が立項されてなくて、自分で驚いたよという記事が投稿されていた。 『大辞泉』では「異次元」を次のように立項することにしたとのこと。 1 異なる次元。また、次元の異なる世界。「―空間」…

ちょっと前の「竹の子族」と、ずいぶん前の「竹の子生活」

「竹の子族」を立項している国語辞典がほとんどないことに驚いた。 手元の辞書で立項していたのは『デジタル大辞泉』のみ(紙の第二版にはなし)。 昭和55年(1980)ごろより、東京都渋谷区原宿の歩行者天国で、派手な衣装を身につけ、音楽に合わせて踊った…

「絶対多数」ってなんだったっけ?

一瞬「絶対多数」という言葉の意味がよくわからなくなった。原因は(ぼくの無知と)『大辞林』第二版だ(笑)。 議決などにおいて圧倒的多数であること。「与党が―を占める」 これが「絶対多数」の意味なのだという。 「絶対」を「圧倒的」に言い換えただけ…

中型辞書の「民本主義」が面白い

昨日、久しぶりに「民本主義」の語を目にした。「民主主義」と言えない事情があったりしたようだったね、と辞書を引いてみた。 例えば『大辞泉』第二版。 大正時代、吉野作造が主唱した民主主義思想。主権在民を内包する民主主義とは区別し、政治の目的は民…

考えてみるとちょっと怖い「弱り目にたたり目」

「たたり目」。漢字にすると「祟り目」。よく目にする漢字だけど、書くことは少ないような気がする。 それもあってか「祟り目」の「意味」をあまりちゃんと考えることがない。 『大辞泉』第二版から引いてみよう。 たたりにあうとき。災難をこうむるとき。「…

上目づかいと三白眼

『明鏡』を眺めていると、「おや」と思うことが多いように思う。今回は「上目遣い」。「上目」の中の子項目として立てられている。 顔を動かさずに、目だけを動かして上を見る目つき。▼人に対するときは悪い感じを与えるものとされる。「―遣(づか)いに人の顔…

ちょっと混乱する「自愛」

友人が退院することになった。そこで「ご自愛ください」とツイートを送り、ふと『広辞苑』第六版を見てみた。 1 (多く手紙文で使う)自らその身を大切にすること。「自重—を祈る」2 品行を慎むこと。 むむ。まあ手紙文で使うとあるから良いんだけど、例文が…