気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

カニの中でもどのカニがカニ?

タラバガニは「カニ」じゃないんだそうだよ。そんなことを昔、教わった気がするな。

朝茹でタラバガニ(オス)?1尾-1,8kg前後

朝茹でタラバガニ(オス)?1尾-1,8kg前後

じゃあカニの中でもどのカニがカニなんだろうな。『大辞泉』第二版から「ガニ」を後方一致で検索してみる。

明らかに「蟹」もあわせて60件程度のヒット。かにじゃないよとわかりやすく書かれていたのはこんな感じ。

  • いばら‐がに 荊蟹
  • いぼ‐がに 疣蟹
  • はなさき‐がに 花咲蟹
  • やし‐がに 椰子蟹

「いばらがに」「いぼがに」は「タラバガニ科のカニ」と書かれている。「カニ」とあるが、すなわち「ヤドカリ」の仲間だ。

「はなさきがに」にいたっては「タラバガニ科のヤドカリ」と記載されている。『大辞林』第二版付属DVD-ROMの映像を掲載してみよう。

カニだよなあ。

はなさきがに
はなさきがに posted by (C)torisan

 ヤシガニは椰子の実に似ているんではなく、椰子の実を喰うんだそうだよ。ヤドカリ。

ところで、『新明解』は食べ物に「うまい」とかいう個人的評価を堂々と記すことが話題になっていた。しかし実はいろんな辞書が味評価を記述している。

たとえば『大辞泉』第二版をそのまま掲載しておこう。

タラバガニ科の甲殻類。体形はカニに似るが、ヤドカリの仲間。甲幅約25センチ、脚を広げると1メートル以上になる。暗紫色で多くのとげがある。北海道以北に分布、タラの漁場に多い。肉は美味。《季 冬》

『岩波国語辞典』第七版・新版にも「肉は美味でかんづめ用」などと記されているのだ。『辞書を編む』が素晴らしく面白かった『三省堂国語辞典』でもやはり「かんづめにする」と記されている。

辞書を編む (光文社新書)

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