気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

盲亀の浮木、優曇華の花 ― 落語に出てくる「優曇華の花」とは?

(落語ネタ「野晒し」はこちら

すぐに思い出すのは「花見の仇討」。他にもあったような気がする。「高田馬場」なんかにも出てきたかな。

ところで、落語以外でも聞いたことがあるはずの「優曇華の花」ってのはなんだろう。

『大辞泉』第二版の第一義では「インドの想像上の植物」となっている。3000年に1度しか花を咲かせないことから、「すごい偶然」を意味するようになった「優曇華の花」。3000年に1度しか開花しない花なんてのはないので、「想像上の植物」と断定するわけだ(たぶん)。

ところで『新明解』第七版は「ふざけんじゃねえよ」と言っている。

イチジクに似た落葉小高木。インド周辺に分布し、果実は食用、葉は家畜のえさとなる。小型・壺状の花は外からは見にくいので、仏教では三千年に一度咲くものとし、理想的な王者 転輪聖王出現の瑞兆とされた。

という感じ。つまりは「優曇華の花ってのはあるよ」と言い、その花が開くのが非常に珍しいと言ったのは単に「外からは見にくい」せいなのだと言ってる。

敢えて過激にとれば「何言ってんだ、ばーか」って感じ。

辞書によっていろいろと違いのあるところだけれども、Wikipediaがうまいというかなんというか。「優曇華」って言葉で3つのものを示す場合があるんですよと言っている。

実在の植物を示す場合、伝説上の植物を指す場合、昆虫の卵を指す場合とがある。

つまり、「いろんな説があるけど、そもそも別のものについて言ってるんだから当たり前じゃん」と。

しばしば「炎上」しちゃったりするWikipediaだけに、「配慮」が行き届いているってことなのかな。

ところで、Google日本語入力では「盲亀の浮木」が一発で変換できる。他はどうだろう。

志賀直哉全集 〈第10巻〉 盲亀浮木 ナイルの水の一滴

志賀直哉全集 〈第10巻〉 盲亀浮木 ナイルの水の一滴