気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

みんな「火だるま」に対して投げやりなんじゃなかろうか。

有名な『新解さんの謎』にも『新明解』の「火達磨」の語釈についての記述がある。

からだ全体に火がついて燃え上がった状態。

なるほどと思いつつ、他の辞書ではどうなんだと引いてみた。『大辞泉』第二版もけっこう冷たい。

全身に火がついて燃えあがること。また、そのもの。「―になる」

使用例も含めて、あくまでも「そのまま」を押し通すつもりだ。もうちょっと優しい辞書はないのかと探すも見つからない。『岩波国語辞典』第七版・新版もこんなんだ。

全身に火がついて燃え上がっている様子。「機体は―になって墜落した」

きっと編纂者も「そのままやんけ」なんて思いながら書いたに違いないと思う。それで使用例にヒネリを加えてみたんだろう。ただ、ひねったせいで、使用例が比喩表現になってしまったのは問題有りに思えるな。

一番「親切」に感じるのは『三省堂国語辞典』第六版だ。2番めの語義として次のように記載されている。

猛烈な批判を受けたり、大きな損失をこうむったりして、追いつめられた状態。

ぼくはこれが第一義でも良いと思うんだけどどうだろう。

三省堂国語辞典

三省堂国語辞典

ちなみにぼくが読んだ『新解さんの謎』はKindle版。あまりに話題になった本なので、少し買うのが恥ずかしくて最近まで買っていなかったのだった。

新解さんの謎 (文春文庫)

新解さんの謎 (文春文庫)