『新明解』第七版を眺めていると「千人」の語に出会った。なぜわざわざ「千人」なんて、と思ったところが、多くの辞書に「千人」の項目はある様子。
とりあえず『新明解』の語釈を見る。
一人の千倍。〔多数の意味に用いられることもある〕
なるほど、そういう説明のしようもあるのか。ってことは「千日」は「一日の千倍」かな。やはり『新明解』を見てみる。
長い年数のたとえ。
がーん。そりゃわかったけど、さっきの「~の千倍」はどうしたんだよ。よくわからないけどそういうもんなのかねえと、『精選版日本国語大辞典』を見てみる。まずは「千人」から。
千の人。また転じて、非常に多くの人。
むむっ。「~の千倍」を使ってない。すると「~の千倍」ってのは『新明解』の遊び心なんだろうか。
続いて『精選版日本国語大辞典』で「千年」を見る。
一年の千倍。千の年。また転じて、ながい年月。永遠の年。
だっはっは。こっちの方に「~の千倍」が出てきた。
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結局、「千人」にせよ「千年」にせよ、「~の千倍」を使う必然はないんだな。でもこの「~の千倍」が気に入った『新明解』が、『精選版日本国語大辞典』とは逆の項目で使ってみたんだろう(全く違う可能性大^^)。
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補記:『岩波国語辞典』第七版・新版には「千年」も「千人」もないみたい。『新訂大言海』や『現代国語例解辞典』第四版は「千人」はないが「千年」ならある。『新潮現代国語辞典』初版には両方とも項立てされている。