友人が退院することになった。そこで「ご自愛ください」とツイートを送り、ふと『広辞苑』第六版を見てみた。
1 (多く手紙文で使う)自らその身を大切にすること。「自重—を祈る」2 品行を慎むこと。
むむ。まあ手紙文で使うとあるから良いんだけど、例文がちょっとやだな。「自重自愛を祈る」。「自重」の言葉のニュアンスが悪いのかな。ちょっと「上から」な感じがしないだろうか。
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おまけに2番めの意味には「品行を慎む」なんてことがある。どうしても「上から」な感じがしてしまうな。
問題は例文かな。たとえば『大辞泉』第二版はこんな具合。
自分を大切にすること。自分の健康状態に気をつけること。「時節柄ご―ください」
やはり相手を思いやってる感じがする。『新明解』第七版はどうだろう。
1 自分のからだを大切にすること。〔多く、手紙文の末尾に「御―ください」などの形で添え、相手の健康を気遣う挨拶の言葉として用いられる〕
完璧だ。意味、用例、ニュアンスが間違いなく伝わる。親切具合で『新明解』の勝ちだな。
但し。「自重」を「上から」のように感じる感覚がおかしいのだという可能性はある。たとえば『大辞泉』第二版や『明鏡』などに「くれぐれもご自重ください」という風な用例があり、これはさすがに「上から」ではあり得ないようだ。
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