「尾鰭が付く」とか「尾鰭を付ける」という表現がわからなくなった。
たとえば『広辞苑』第六版では次のような定義になっている。
事実以外のことをつけ加えて、話を誇張する。
『大辞泉』第二版でも同じような感じ。
話が伝わる間に実際にないことが付け加わって大げさになる。「うわさに―・く」
これまで疑問の余地もなく使っていたけれど、なぜ「尾鰭」が「事実以外」とか「実際にないこと」という意味になったんだろう。
- 作者: さくらももこ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/03/20
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
一説には「決まった数の尾鰭はすでについているのに、さらに付けるのが余計なのだ」というのがあるようだ。それはまずまず説得力はある。
確かに『現代国語例解辞典』第四版では「事実以上の種々な付け加えをする」とも記している。しかしそれなら「尾鰭を付ける」という言葉自体に「余計な」とか、そういう説明的単語を付けておくべきではないか。
混乱しつつ『精選版日本国語大辞典』の「尾鰭」を見てみる。
本体となるものに付帯している部分。特に、話題に付け加えられる事柄。おまけ。
これはちょっと面白い。「尾鰭」が「実際にないこと」ではなく、「本体となるものに付帯している」というのがいい。確かに魚には尾鰭はついている。しかし、なんの目的で魚を求めるにせよ、「尾鰭が目的なのではない」ということだ。
つまり、「話に尾鰭がつく」とは「誇張」とか「大げさ」ということを示すのではなく、「本題以外のいらない部分が増える」ということなんじゃなかろうか。質的に膨らむのではなく、単に量的に膨らむことを意味するのではないか。
およげ!たいやきくん/およげ!たいやき ヤキヤキ音頭 (CD only)
- アーティスト: AGC38feat.東京ブラススタイル
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2012/04/18
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
実は『精選版日本国語大辞典』にも「おひれが付く」は項立てされている。そしてその語釈は次の通り。
事実以上に種々のことが付け加わる。複雑になる。
「事実以上」の言葉が残念な感じ。でも「複雑」というのは、上の「量的に膨らむ」に近い感じがあるのではなかろうか。
と、いうわけですみません。「本当の意味」は嘘です^^。でも、「量的である」と考えれば辻褄があうんだよな~。
あー、面白かった。
- 作者: 三省堂編修所
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2001/10
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (1件) を見る