気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

日本に入ったばかり(?)の「扇風機」を見てみる(更新あり:「電機扇風機」について)。

『辞書と日本語』という本で知った話だ。『大言海』の「扇風機」の語釈があまりに素晴らしいという話。

辞書と日本語 国語辞典を解剖する (光文社新書)

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うちには『新訂大言海』があるので見てみた。ちなみに『大言海』の「ん」は「む」の次にあるので、うっかりすると見つからない。

 ツイートはスペースの都合もあって一部のみ。ここに全文を引いてみよう。ツイートと同じく現代仮名遣いにしておこう。

(1)回転によりて、気体に流動を生ぜしむる機械。その構造は、回転軸の周囲に、数葉の扇翼を備えたるものを、円筒形、或いは螺旋形の外被内に収めたるなり、この扇翼の回転によりて、外被内の気体、旋転せられ、その遠心力のために、内部周囲の気圧は高く、中心の気圧は低くなり、従いて、気体は、外被は、外被側面の中心より入りて、周囲の一部より外方に向かいて、絶えず、流動を継続す。この機を、通風機、又は、送風機とも称す。
(2)普通に扇風機と称えられ、遍く使用せらるるは、夏季、室内にて、冷風を送るに用いらるる、電気扇風機なり。これに、卓上用と、天井用との二種あり、共に、扇翼、四枚のものが多く、各翼は、稍、傾けて軸に取附けられ、その回転によりて、翼面の空気を、面に、直角の方向に、促動流通せしむ、即ち、風は、扇翼の後面、及び、周囲より、前面に流動す。その外被中に、電動機有あり、扇翼は、電動機の回転子、又は、電動子軸に固着せらる。交流にては、誘導電動機、直流にては、直捲電動機を使用せるもの多く、共に、抵抗の加減によりて、回転数を変ずる装置ありと。電気団扇。

『世界大百科事典』によれば、1893年に日本に輸入されたんだそうだ(アメリカでの商品化は89年)。

少々、『大言海』の匂いを残す『精選版日本国語大辞典』も、比較のために引いておこう。

モーターで数枚の羽根を回転させ風を起こす装置。

しかし最近は「扇翼」もなくなっちまったなあ。

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【更新情報】日本国語大辞典には「電機扇風機」の項目がある。「現代では、単に扇風機という。でんきおうぎ。でんきせん」という語釈だ。すばらしい(^^)。