気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

自転車乗りが「皆」目指す「峠」ってのはなんなんだ?

まあ、本当のことを言うと「皆」じゃないんだろうな。ただ、ロードバイクを買った人の「かなりの割合」が、山(峠)に登り始める(笑)。冬にもおかまいなしだったりする。

天目指峠の秋

で「峠」。この字が「国字」だってのは有名な話。小学校で習うんだっけ? ちなみに「国字」を『日本国語大辞典』で引くとこんな感じ。3番めの定義だけ載せておく。

こく―じ【国字】(3)日本で、漢字の構成法にならって作られた文字。たとえば、俤(おもかげ)・凩(こがらし)・峠(とうげ)・榊(さかき)・笹(ささ)・躾(しつけ)・辻(つじ)・閊(つかゆる)・鱈(たら)・鴫(しぎ)・麿(まろ)など。会意による構成が多く、音を欠くのが普通であるが、「働(どう)」のように一部を音符として音読するもの、「鮟鱇(あんこう)」のように形声で、訓のないものもある。和製漢字。倭字。和字。

ともかく「峠」ってのはよくできた文字だよねえと思ってたけど、そういえばなぜ「とうげ」という音になったのかは考えたことがなかった。

トミカ 峠やまみちドライブ

トミカ 峠やまみちドライブ

今度は『広辞苑』第六版から引いてみる。

(タムケ(手向)の転。通行者が道祖神に手向けをするからいう。「峠」は国字)

「手向」ってのはまあ、お供え物をしたり、お祈りをしたりすることだ。多くの辞書に同じ内容が記されている。知らなかったなあ。

小型辞典では『岩波国語辞典』第七版・新版で触れているが『新明解』第七版や『三省堂国語辞典』第六版などには言及なし。 

『新明解』からは例文を引いておくとしよう。

峠の茶屋/彼も今が峠だ/病状も峠を越した/峠道

ふむ。この例文は単なる遊びでなく、確かに必要な感じがするな(^^)。 

今は峠を歩いていても机竜之介に出会ったりはしない。

nakazato kaizan memorial