「竹の子族」を立項している国語辞典がほとんどないことに驚いた。
手元の辞書で立項していたのは『デジタル大辞泉』のみ(紙の第二版にはなし)。
昭和55年(1980)ごろより、東京都渋谷区原宿の歩行者天国で、派手な衣装を身につけ、音楽に合わせて踊った若者たち。名称は、衣装を扱っていた洋品店「ブティック竹の子」からという。
「竹の子族」時代がちょうど自分の少年時代後半に重なるせいか、かなりメジャーな「歴史用語」なのかと思っていた。しかしもしかするとそれほど広く認知された用語ではなかったのかもしれない。
一方、同じ「竹の子」でも「竹の子生活」の方は多くの辞書に取り上げられている。
この言葉はこれまで知らず、『カレーライスの誕生』という本で発見した。
戦後、手持ちのコート、袴など大事にしてきた衣類を、食べ物を手に入れるため、農家や闇市で食料と換える生活がくりかえされ、「たけのこ生活」という、…悲しい言葉が流行った via 『カレーライスの誕生』
— maeda hiroaki (@torisan3500) June 13, 2013
『広辞苑』第六版を見てみる。
竹の子の皮をはぐように、衣類その他の所有品を売って生活費にあてる暮し。特に、第二次大戦直後に言われた。
ほとんどの辞書に載っていると思う。『三省堂国語辞典』には立項されていないけれど、「売り食い」にリンクされている。 「売り食い」は「竹の子生活」と同様の意味。
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ちなみに「竹の子生活」は和英辞書などでも扱われているようだ。
『新和英大辞典』の電子増補版には次のようにある。
“onion―skin” living; living on the sale of one’s personal effects.
『プログレッシブ和英中辞典』第三版にも次のように記されている。
surviving by selling one’s possessions (one by one)
あと数十年すれば、「竹の子族」も「歴史」となり、辞書などに掲載されるようになるのかも?
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