『漢字雑談』の本に、何度も繰り返し「百姓よみ」という言葉が出てくる。あまり愉快な言葉とも思えないので、そんなに使わなくてもと思った。
百姓よみ、とは字のつくり(旁、おおむね右側)の読みを全体の読みとすることである。百姓をばかにしたような言いかただが、昔からある一種の術語であり、国語学者も使う。
ということなのだそうだ。
まあ、事情がわかっても積極的に使おうとは思わない表現だ。
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ただ、他にもいろいろと「読み」を末尾に付けた表現がありそうだなと考えた。
『大辞泉』第二版に頼った。
まずは「ぎなた読み」。
こりゃ落語の「浮世床」そのままだ。
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「粒読み」(つぶよみ)ってのもある。
(1) 一語ずつその意味を考えながら熟読すること。
(2) 並んでいる数字を一つずつ読むこと。「119」を「ひゃくじゅうきゅう」ではなく「いちいちきゅう」とする読み方。
なるほど。数字をそのように読む読み方には、他の名前もありそうだな。
「有職読み」というのはもっとメジャーな言葉と思っていたのだが、記憶違いかもしれない。
中世の歌学で、歌人の名を音で読むこと。またはその読み方。藤原俊成(としなり)を「しゅんぜい」、藤原定家(さだいえ)を「ていか」と読むなど。また、近代にそれをまねて有名人の名を音読すること。伊藤博文(ひろぶみ)を「はくぶん」、川端康成(やすなり)を「こうせい」と読むなど。
「まねて」というか、そもそも漢字は音読みが基本で、紛らわしいときは音読みしておくのが良いという話もなかったっけ。そういうスタンスのことを「有職読み」と呼ぶのだと思っていたが、なかなか立項されていない言葉のようだ。
ところで『大辞泉』。「鯖読み」の語釈は「鯖を読むこと」となっている。
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