中学生の社会の問題集を見ていたら(趣味なのだ)、「富岡では国の肝いりで産業が興されましたが、行われたのはどんな産業でしょうか」という問題があった。
選択問題だけど、そんなもん「製糸業」に決まってる。
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ただ選択肢に「紡績」もある。はて、「紡績」と「製糸」の違いはなんだ。
恥ずかしいことだというのはよくわかるけれど、なんとなく違いを意識せずに生きてきたな。
「製糸」を『広辞苑』第六版で引いてみた。
糸をつくること。特に、繭から生糸を製造すること。「—業」
ふむ。まあそれは知ってる。「紡績」との違いはなんだ。
糸をつむぐこと。動植物などの繊維を加工して糸にすること。神皇正統記「女子は—をこととしてみづからも着」
よくわからないなあ、これ。「つむぐ」と「つくる」が違うけれど、「つむぐ」だって「つくる」だしなあ。
しかたないのでGoogleってみた。するとこんなツイートがあった。
製糸と紡績の違いを理解してね。どちらも明治期の主要産業よ。蚕の繭を原料に絹糸をつくるのが製糸、綿花を原料に綿糸をつくるのが紡績ね。製糸は原料が国内で供給できたから外貨獲得に貢献したわ。紡績の原料は輸入ね。だから海外技術の導入に寄与した面が大きいわ。絹を売って軍艦を買っていたわ。
— ついったー教室【日本史】 (@shakaitan_nihon) June 11, 2013
嗚呼。原料の違いか。原材料との関連で産業育成に影響を与えたので、「社会科」では必須の知識な様子。
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ただ、『明鏡』には次のような記述もある。「紡績」の2番めの語釈。
綿花・羊毛・麻・絹などの繊維をつむいで作った糸。
また『新明解』第七版にも救いの手がある。「紡績」の全文を引く。
(1)糸を紡ぐこと「紡績機(工場)」 (2)(←紡績糸)種々の繊維を紡ぎ、より合わせて作った糸。ぼうせきけんし【絹糸】くず繭などから作った真綿を紡いで作った糸。絹紡。ぼうせきめんし 【綿糸】綿花を紡いだ糸
つまり「紡績」も「絹」に使うことがあるわけだ。そうであれば、違いがわからない自分も恥ずかしくはないのか、と楽観しかかった。
但し、やはりそうではないんだろう。単独で使った場合なら、あるいは区別しない用法もあるのかもしれない。しかし並立されていれば、やはり片方は絹、そして片方が綿だとしっかり区別する必要があるのだと思う。
そういやあ「真綿」と「木綿」の違いも知らなかったのであったなあ。
たいていの場合、知らないことがあるのは楽しいこと。ただ、この辺りの知識が欠けているのは、単なる「不備」ということになるんだろうな。おとなしく恥じておく。
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