気になる言葉 on 国語辞典

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『新明解』の「数学」に感じるちょっとした「ロマン」

広辞苑』第六版には別にロマンは感じない。

数量および空間に関して研究する学問。代数学・幾何学・解析学(微分学・積分学およびその他の諸分科)、ならびにそれらの応用などを含む。

まず、当たり前の話だ。

数学入門〈上〉 (岩波新書)

数学入門〈上〉 (岩波新書)

ちょっと素敵に感じるのは『新明解』第七版。

数・量・図形・関数などの性質や相互の関連およびそれらの間に成立する法則を研究する学問。〔得られた結果の全体を論理的体系にまとめる努力が行われる。扱う対象により、代数・幾何・解析の三大部門に分かれる〕

ちょっとホンワカしたりしないだろうか。

数について―連続性と数の本質 (岩波文庫 青 924)

数について―連続性と数の本質 (岩波文庫 青 924)

少々わかりにくい「解析」について、数学にかかわる部分のみ引いておく。もちろんこちらも『新明解』より。

極限の概念に立脚する無限級数・微積分などを駆使して、種種の関数の性質や相互の関係を体系的に研究する数学の一部門。

「相互の関係」というキーワードがちょっとしつこい感じもするが、まあそう表現したくなるところではある。

解析入門 (岩波全書 325)

解析入門 (岩波全書 325)

ところで、『明鏡』が少々変な感じ。まず「数学」を引くと、次のように出る。

数・量・空間などの性質や関係について研究する学問。代数学・幾何学・解析学微分学・積分学などの総称。

そして「解析学」は次のように定義されている。

微分学・積分学など、関数についての研究をする学問。

「数学」の説明では微積分解析学が並立しているけれど、「解析学」の項では微積分が含まれてしまってる。

ちょっとしたミスなんじゃないかと思う。