「H」の読みとして「えいち」では立項していない『新明解』第七版だけど、「えっち」については次のように記述している。
〔エイチの俗な発音〕
そう書くなら「エイチ」も立項すべきと思うんだけどな。ついでに2番目に上がっている語義も書いておく。
〔Hentai(変態)の頭文字で、もと女学生の用語という〕性的な事柄に興味を示す様子だ。「―する〔=(結婚する意志もないのに好奇心に駆られて)性行為を行う〕」
全然知らなかった。「結婚する意志もないのに」なんていう条件が必要なのだっけ。「好奇心に駆られて」ってのは、年齢的な絞り込みなのかな。
タイトルに名前を出している『明鏡』は真っ向から(?)対決する。3番目の語釈。
〔俗〕性行為を遠回しに言う語。「恋人と―する」
「恋人」とするのであれば「好奇心に駆られて」ということもあるまい。『新明解』は少々面白くしようとする意識に引きずられた感じがする(今でもAだとかBだとかCだとかって言葉はあるんだろうか)。
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閑話休題。
今日の主題はそんなことじゃなかった。もう「HTML」なんて単語も「国語辞典」に出ているのだろうなあと思ったのがきっかけだった。
ちなみに『新明解』第七版や『岩波国語辞典』第七版・新版にはない。『三省堂国語辞典』第六版にはある。
小型辞典にはないケースが多いのかもしれないけれど、『明鏡』にはあった。
エイチ-ティー-エム-エル【HTML】インターネットのホームページなど、ウェブに対応したページを作成するための書式
Languageなんだから「言語」にしてやればいいじゃないかと思うけれど、まあいいのかな。
『広辞苑』第六版を見る。
エッチ‐ティー‐エム‐エル【HTML】 (Hyper Text Markup Language)データ記述用言語の一つ。ウェブでハイパー‐テキスト文書、すなわちホームページの文書を作製・整形するためのもの。文字のほか音声・画像の扱いが可能で、ハイパー‐リンク機能を持つ。
「データ記述用」なのか、マークアップすることが「扱いが可能」と同義なのか、少々悩むところもあるけれど、まあ一般的な説明。
と、いうか、語釈自体はわりとどうでもよく、気になるのは「エッチ」ティーエムエルの表記だ。
最近、「HTML」だとか、たとえば「HIV」。あるいは「HP」でも「HMV」でも良いけれど、わりと「H」は「エイチ」と発音するんじゃないか。
でも「エイチ」で引くと「エッチ」に飛ばされることが多いんだよな(小型辞典は「エイチ」の立項がないのが普通みたい)。
エイチは往々、エッチに飛ばされる(広辞苑第六版より) pic.twitter.com/65G5WoUDaZ
— maeda hiroaki (@torisan3500) August 3, 2013
「エッチ」に、冒頭にあげたような意味があるせいかもしれないけれど、どうも「エッチ」という音は恥ずかしい。できるなら「エイチ」の方向で、一般化していくといいなあ。
ところでタイトルの「どっちだ」。もちろん『広辞苑』の方がエッチであるということで、いーんじゃないかと。
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