「のたうつ」という言葉を辞書で引いてみた。きっかけは古今亭志ん生の「弥次郎」。話の中に猪が出てくる(そういえば猪が出てくる落語は多いな)。
猪と「のたうつ」が結びつくんだとは知らなかった。ちなみに『新明解』第七版によれば「苦しんでもがく」と定義されている。
しかしどうやら猪は、気持よくのたうつらしいのだ。
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では『広辞苑』第六版でみてみる。
(ヌタウツの転)苦しみもがいてころげまわる。のたくる。
「ヌタウツ」という新しい言葉が出てきたが、まだ「気持ちよさ」も「猪」も出てこない。当然「ぬたうつ」を調べることになる。引き続き『広辞苑』で良いだろう。
(1)猪が草の上にころがって体に泥をつける。もがきころげる。のたうつ。
(2)だらしなく寝ころがる。
(3)軽んずる。あなどる。
猪が出てきた!
つまりは「のたうつ」は「ぬたうつ」から転じたもので、意味としてはほぼ同じ。そして猪が泥の上であばれる様子から生まれた言葉のようだ。
「気持ちよさ」がまだ出てこないな。
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『日本国語大辞典』も見てみよう。「ぬたうつ」を見てみた。
(1)猪(いのしし)や鹿が草の上や泥土の中などに寝ころぶ。熱くなった体温を冷やすため、また、あぶや蚊にくわれないためともいう。ぬたを打つ。(以下略)
なるほど。猪には泥土の中でのたくる習性があるのだな。そして身体を冷やしたりするんだから、それはきっと気持ち良いことなのだ!
せっかくだから『日本国語大辞典』で「ぬた」も見てみる。漢字で書くと「沼田」となるのだそうだ。該当部分のみ。
(1)泥ぶかい田。ぬまた。泥地。
(2)(猪(いのしし)は、泥の上に枯草をかき集めて寝るというところから)猪の寝床。また、泥土。
本人は気持ち良いんだけど、外からみると苦しそうな様子に見えた。それで「のたうつ」は「苦しんでもがく」という意味になったんだな。
似たようなことはあるね! と、例をあげようと思ったんだけど、なぜかシモネタ系ばかりを思い出す。例はなしで終了しておこう。
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