気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

酒を意味する「直し」にも、2つの意味があるのだそうだ

落語の「青菜」がわりと好きだ。関係ないが、妻は笑福亭鉄瓶の関西語版をかなり気に入っている。

青菜ブック―世にも美しいダイエット (講談社ニューハードカバー)

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この「青菜」という話に「なおし」という酒が出てくる。「柳陰」(やなぎかげ)とも言う。暑い夏などに、なかなかおいしく飲める酒だとの話。

そういうものかと大して深くも考えていなかったんだけど、辞書をみてみた。『広辞苑』第六版の該当部分をみてみる。

(4)「直し酒」の略。
(5)「直し味醂(みりん)」の略。

どちらも酒のこと。 ちなみにどちらがウマそうだろう?

それぞれ見てみよう。辞書はそのまま『広辞苑』を使う。まず「直し酒」。

なおし‐ざけ【直し酒】 ナホシ‥
腐敗しかけた酒または下等な酒などを加工して、普通の酒と同様な香味をもたせた酒。なおし。

なるほど。「下等な酒」をごまかしたものらしいぞ。続いて「直し味醂」という、なんだか料理用語みたいなものを見てみる。

なおし‐みりん【直し味醂】 ナホシ‥
焼酎に味醂をまぜた酒。焼酎よりも甘くて弱い。なおし。

なるほど、こっちの方がちゃんとした(?)酒なのか。 

あれ? 酒みたいな瓶で売ってるんだな。そういえば「味醂」ってなんだっけ? てっきり調味料かと思ったけど。『明鏡』で見てみる。

み‐りん【味▾醂】
〖名〗 焼酎(しょうちゅう)に蒸したもち米と米こうじを加え、ゆっくりと糖化発酵させた甘い酒。正月の屠蘇(とそ)や調味料に用いる。

ああ、そうなのか。味醂ってものが、それ自体で酒なのか。 相当恥ずかしいことを知らなかったな。

みりん【味醂】
a sweet sake (used as seasoning).

と、『新和英大辞典』にも書いてあった。

三河みりんで味わうプチマクロ料理

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いろいろと知らないことがあるけれど、料理系の話というのは本当に知らないことばかりだ。

こんな自分を発見するにつけ、今更料理など覚えることはできなかろうと再認識する。せいぜいうまいものを食って余生を送ることとしたい。

47都道府県・伝統調味料百科

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