気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

「寝る」の尊敬語は「御寝る」。読み方は「およる」。

Kindle版の『古事記物語』(鈴木三重吉)を読んだ。内容は現代語に訳され、そして歌謡は意味だけを記し、オリジナルの歌は載せていない。

古事記物語

古事記物語

「歌など翻訳出来るものではない」という態度は、確かに潔い。

現代語に訳されているとはいえ、大昔の本の内容だし、鈴木三重吉が1882年生まれ(1936年没)の人。いろいろと気になる言葉もあって面白い。

たとえば「およる」。 なんだか「およよ」に似た言葉だ。わけがわからなくなってパニックになるの意味だろうか?

そんなわけはない。

小型辞典では見当たらないことが多いが、中型辞書ならだいたい載っているようだ。『広辞苑』第六版を見る。

お‐よ・る【御寝る】
〖自四〗
「寝る」の尊敬語。おやすみになる。御寝(ぎょしん)なる。増鏡「御門はいづくに—・るぞ」。末広鉄腸雪中梅「旦那、今朝(こんちょう)は珍らしくよく—・りましたネ」

天皇専門っぽい字だけど、「旦那」にも使うんだな。 

ところでこの『古事記物語』。なかなか笑える表現が盛りだくさん。たとえば敬語で言えばこんなの。

殺す側も身分のある御方なのでこんな話になる。

「赤い鳥」連載のくせに風俗的にすごいのも溢れてる。 

ずいぶん直接的な話だ。神々世界のナンセンス話もあるな。

何度も殺されかける、ってか殺されてしまうので「また殺されていらっしゃるところをおみつけになる」という話になる。 

神々は基本的にわがままで、わがままと言えば子供と同じ振る舞いだということを示す話もある。

「ぽんぽんけりちらかして」、「ぷんぷん」して行ってしまったのならしかたあるまい。 

ぽつぽのお手帳

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 鈴木三重吉の本は無料Kindle版も大量に登録されている(元はもちろん「青空文庫」)。結構幸せになれそうだ。

ぶくぶく長々火の目小僧

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