「もやし」を辞書で確認しようという人は少ないのだろう。しかし辞書を引くと、いったいなんのことやらわからなくなる。
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こういう日常的なものは、大きな辞書で引くとむしろわからなくなるのでコンパクトなものがよかろう。『新明解』第七版あたりが適当か。
もやし【萌(や)し】
〔芽を出させる意の動詞「萌やす」の連用形の名詞用法〕日光に当てないようにして出させた米・麦・豆類・野菜の芽。(略)
漢字で「萌やし」と書くことも知らなかったし、「米、麦、豆類、野菜」など、いろんなものの芽をもやしと呼ぶことも知らなった。
『日本国語大辞典』の語誌欄には「中世まではモヤシといえば米・麦で作られ、米モヤシはひしおの類や水飴に、麦モヤシは酒の醸造や薬用に用いられた」なんてことも書いてある。
ちなみに「萌やす」も引いておこう(そんな動詞があることも知らなかった)。残念ながら『新明解』にはないので『広辞苑』第六版より。
もや・す【萌やす・蘖す】
〖他五〗
(1)地味を肥やして芽が出るようにする。
(2)芽を出させる。もやしを造る。
2番目の語釈はともかく、1番目をみただけでは、これが「もやし」に繋がっていることも見過ごしてしまうかもしれないな。
多くの国語辞典がこんな感じ。但し学術的な説明よりも、日常的な理解を重視しているらしい『三省堂国語辞典』はさすがに他とは一線を画す。第六版は少々「学術」に寄っている感じなので第四版から引く。
もやし【萌やし】
(名)
〔食べるために〕ダイズなどの芽を出させたもの。
なるほど。これは日常的な理解に近い。語源に興味をもってしまえば不満を感じるかもしれないが、それは漢字から想像せよという話だな。
現代的言葉である「萌え」も、どこかで「もやし」と繋がっているんだろうか。よくわからない。『大辞泉』第二版の「萌え」を見る限りはつながりは感じられない。
《若者言葉》ある物や人に対してもつ、一方的で強い愛着心、情熱、欲望などの気持ち。必ずしも恋愛感情を意味するものではない。
「MOE」も関係ないんだろうな。