気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

(辞書からも)失われた赤電話

ちょっと昔の辞書を眺めている。たとえば『三省堂国語辞典』第四版など。この国語辞典、最新は今年の1月に登場したばかりの第七版だ。

その第四版で見つけたのが「赤電話」。実はこれ、第六版や第七版には掲載されていない(第五版は持っていない)。

電話銀行

電話銀行

 

そのまま『三省堂国語辞典』から引く。

あかでんわ【赤電話】
(名)
店先・駅の構内にすえつけて保管・取りあつかいを委託する、赤い色の公衆電話。

昔、タバコ屋の店先によく置いてあった。10円玉を投入して使うのだが、なぜか使うときはタバコ屋のおばちゃんに「電話借ります」などと挨拶をしたものだった。

「委託」されたものだから、やっぱり「借ります」で正しかったのかなと、「公衆電話」の項も見てみた。

こうしゅうでんわ【公衆電話】
(名)
街頭や店先に設け、料金を払えばだれでも使える電話。赤電話など。

なるほど。公衆電話とはそもそも「だれでも使える」と、やや上から目線な存在であったわけだ。「使わせて頂きます」が正しかったんだ。

ケータイと赤電話 as time goes by

ケータイと赤電話 as time goes by

 

もう少し詳しい情報も『日本大百科全書』でおさえておこう。

硬貨式の公衆電話は1953年(昭和28)1月に、赤電話は同年10月に、ピンク電話は59年に登場した。

ピンク電話は「寮」なんかにもおいてあったっけ。

遠距離通話の増加に伴って、利用上の煩わしさ(両替や追加投入など)について改善を望む声が強くなり、100円硬貨も併用できる黄電話が72年から導入された。

そうそう。手に何十枚もの10円玉を握りしめて電話したこともある。100円が使えるようになっても、100円を投入してしまうとお釣りが返ってこないのだ。

95年(平成7)にはピンク電話をのぞくすべての公衆電話が磁気カード式公衆電話(硬貨併用型を含む)にかわり、青電話、赤電話、黄電話は姿を消した。

その後にISDN回線を利用した「グレ電」ってのもできたな。ここでノートパソコンなどを繋いだりしていると、後ろに並んだ人から嫌味を言われたりしたものだった。

日本人とてれふぉん―明治・大正・昭和の電話世相史

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