ずいぶんとイモムシのことを蔑ろにしてきたようだ。「イモムシとはいったいなんだ」と考えずに人生を送ってきた気がする。反省のきっかけとなったのは『三省堂国語辞典』だ。
「いもむし」とは「毛虫」の形ながら「毛」の目立たないもの via 三省堂国語辞典 #虫 #辞書 #国語辞典 pic.twitter.com/7AvSxnV7n2
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 3月 12
最初にこの定義をみたときは「なんじゃそれ」と思った。『三省堂国語辞典』らしい説明の「簡素化」があるのかと思った。毛があれば毛虫でなければいもむしなんていう安易な区別であるわけがないと思ったのだ。
ところが『広辞苑』を見て驚いた。1番目の意味のみ転載。
いも‐むし【芋虫】
(1)チョウやガの幼虫で毛の無いものの総称。特に、スズメガ科のガの幼虫。春夏の頃、草木の葉を食害。
『広辞苑』も含め、ほとんどの国語辞典が「イモムシ」を「毛虫」の「毛が無い」あるいは「毛が目立たない」ものとして定義しているのだった。
なるほどねえと感心しつつ『日本国語大辞典』を見てさらに驚いた。こちらも1番めの定義のみ引く。
いも‐むし 【芋虫】
〔名〕
(1)チョウ、ガの幼虫などで、青虫、毛虫と呼ばれるもの以外のものの俗称。特にスズメガ科のガの幼虫の俗称。サトイモやサツマイモの葉を食べることからこの名がある。体は円筒状でほとんど無毛。尾部背面に角状突起がある。体色は緑色のものが多く、斑紋のあるものもある。
イモムシは、芋の葉を食うからイモムシというのか。てっきり身体の形がなんとなく芋状だから言うのだと思っていた。
ちなみに「青虫」と「イモムシ」の区別は曖昧なようで、イモムシの小型を青虫であるとしたり、モンシロチョウの幼虫を青虫というのだとするものなどいろいろ。
理科ではどのように区別していたかなと思えば、大きく「イモムシ型」と「ケムシ型」にわけているようだ。
チョウやガの幼虫は、大きく「イモムシ型」と「ケムシ型」に分かれるようだ via 小学館の図鑑NEO #昆虫 #虫 #理科 pic.twitter.com/6rbOj8APk2
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 3月 13
ちなみに、こんな話をすれば当然「ケムシ」も引いてみたくなる。『広辞苑』はこんな感じ。
け‐むし【毛虫】
(1)チョウやガの幼虫で毛の多いものの総称。多くは褐色または黒色で、全身に長毛を有し、植物の茎・葉を食害。
(2)いじわるな嫌われ者のたとえ。
なるほど、イモムシを「毛の無いもの」と定義するなら、このケムシの定義は当然だ。
いずれにせよ、わりと身近な存在であるのに、その定義を曖昧に暮らしてきたことを反省する(^^)。