気になる言葉 on 国語辞典

つい気になった言葉など、辞書で引いてみる

あまりよくわからない 「こうもり傘」の語源(まあ形が似ていると言われればその通り)

こうもり傘は「広げた形がコウモリの翼の形に似ている」(大辞泉)からこうもり傘だと言うのだそうだ。

「コウモリの翼の形」ってのもよくわからないが、昔の日本石油の商標のようなイメージか。

まあ言われてみれば似ている気がしないでもない。上の写真はJX日鉱日石エネルギーより拝借。

この「コウモリの形に似ている」という説が有力らしいんだけれども、形に触れない辞書も多い。

たとえば『明鏡』だと「金属製の骨に布などを張った雨天用の(黒い)傘」と定義されている。『三省堂国語辞典』でも「細い鉄の骨に(黒い)ぬのをはった、西洋ふうのかさ」となっている。

この両者をみれば、もしかすると「金属製」の骨の細さがコウモリを連想させるということなのかとも解釈できる。

実際にコウモリの骨格などを見れば、どちらの説にも説得力を感じてしまうな。

あるいは『新明解』は「なぜこうもり傘と呼ぶのか」という理由は完全にスルーする。曰く「西洋風の雨傘。洋傘」として、以上終了だ。

赤いこうもり傘 (角川文庫)

赤いこうもり傘 (角川文庫)

 

Wikipediaの「傘」には次のような記述もある。

洋傘をこうもり傘ともいうが、こうもり傘の語源に関しては、「傘をかぶる」が「こうむる」となり、これを語源とするなどの複数の説があるが、ペリーが来航した際、持ち込んだ洋傘を「その姿、蝙蝠(こうもり)のように見ゆ」と比喩したことから生まれたという説が最も有力である。 

「姿」ってのはさした様子ということなんだろう。

ちなみに『広辞苑』では次のように定義されている。

こうもり‐がさ【蝙蝠傘】
(ひらいた形がコウモリに似るからいう)西洋風の傘。鉄の骨に布などを張って、柄をつけたもの。洋がさ。

「柄をつけたもの」なんて記述のせいで、その辺りの事情も気にはなる。まあそれはまたそのうちに調べてみよう。

民芸 実用蓑笠(みのかさ)

民芸 実用蓑笠(みのかさ)

 

こんないろいろを考えたのは、『コウモリの謎』を読んだから。サブタイトルが素敵なんだ。曰く「哺乳類が空を飛んだ理由」。気になるに決まってるじゃないか。掲載されている写真が、ちょっとわかりにくい感じもしたんだけれど、面白い本だった。

コウモリの謎: 哺乳類が空を飛んだ理由

コウモリの謎: 哺乳類が空を飛んだ理由