こうもり傘は「広げた形がコウモリの翼の形に似ている」(大辞泉)からこうもり傘だと言うのだそうだ。
「コウモリの翼の形」ってのもよくわからないが、昔の日本石油の商標のようなイメージか。
まあ言われてみれば似ている気がしないでもない。上の写真はJX日鉱日石エネルギーより拝借。
“日本石油では、1888年の創業時、創立記念式典の会場内に一羽の蝙蝠が舞い込んで来たことから、「コウモリ」をデザインしたマークを商標とし、…製品販売を行っていました” / “新しい「ENEOS」誕生までのあゆみ|JX日鉱日石エネル…” http://t.co/j8Qjjw65rF
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 5月 25
この「コウモリの形に似ている」という説が有力らしいんだけれども、形に触れない辞書も多い。
たとえば『明鏡』だと「金属製の骨に布などを張った雨天用の(黒い)傘」と定義されている。『三省堂国語辞典』でも「細い鉄の骨に(黒い)ぬのをはった、西洋ふうのかさ」となっている。
この両者をみれば、もしかすると「金属製」の骨の細さがコウモリを連想させるということなのかとも解釈できる。
実際にコウモリの骨格などを見れば、どちらの説にも説得力を感じてしまうな。
コウモリの骨格 via 『コウモリの謎』 (大沢啓子 大沢夕志) pic.twitter.com/MnyN4Ay5A1
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 5月 25
あるいは『新明解』は「なぜこうもり傘と呼ぶのか」という理由は完全にスルーする。曰く「西洋風の雨傘。洋傘」として、以上終了だ。
Wikipediaの「傘」には次のような記述もある。
洋傘をこうもり傘ともいうが、こうもり傘の語源に関しては、「傘をかぶる」が「こうむる」となり、これを語源とするなどの複数の説があるが、ペリーが来航した際、持ち込んだ洋傘を「その姿、蝙蝠(こうもり)のように見ゆ」と比喩したことから生まれたという説が最も有力である。
「姿」ってのはさした様子ということなんだろう。
ちなみに『広辞苑』では次のように定義されている。
こうもり‐がさ【蝙蝠傘】
(ひらいた形がコウモリに似るからいう)西洋風の傘。鉄の骨に布などを張って、柄をつけたもの。洋がさ。
「柄をつけたもの」なんて記述のせいで、その辺りの事情も気にはなる。まあそれはまたそのうちに調べてみよう。
こんないろいろを考えたのは、『コウモリの謎』を読んだから。サブタイトルが素敵なんだ。曰く「哺乳類が空を飛んだ理由」。気になるに決まってるじゃないか。掲載されている写真が、ちょっとわかりにくい感じもしたんだけれど、面白い本だった。