「送り狼」はもともと比喩的表現なのではないという話は、遠い昔に聞いたような気もする。
比喩としての意味だけではない「送り狼」。ところで「狼れん」って何だろう? via 広辞苑 #辞書 #国語辞典 pic.twitter.com/FdeS4c3b99
— maeda hiroaki (@torisan3500) 2014, 6月 26
実は上の『広辞苑』も十分に遡りきれておらず、『日本国語大辞典』をみてみる。
おくり‐おおかみ[:おほかみ] 【送狼】
〔名〕(1)道行く人の前後についてくると考えられた狼。全国的な伝承で、群狼から旅人を守ってくれるという話と、転ばずに歩けば必ずしも害を加えないが、転べば食いつくという話がある。送りおおかめ。おおかみ。
(2)(転じて)人のあとからついて来て、害を加えようとする人間。特に若い女性を親切らしく送って行って、機会があれば誘惑しようとする男性にいうことが多い。送りおおかめ。おおかみ。
「転ばずに歩けば害を加えないが、転べば食いつく」ってのが「伝承文学」な感じで面白い。
ちなみに広辞苑の語釈の最後にある「狼れん」 は「狼連」のことであるようだ。『広辞苑』にはない。『日本国語大辞典』から引こう。
おおかみ‐れん[おほかみ:] 【狼連】
〔名〕(狼はすきがあれば獲物に飛びかかろうとするところから)
女性に対してみだらな心をいだいて、いつもつきまとう人々。
「なんとか連」という言い方は、落語などでたまに耳にする。その言い方はわりと最近まで一般的だったんだろう。それで『広辞苑』は説明の必要を感じなかったのだろうと想像する。しかしせめて「連」は漢字で書くべきじゃないか。
「天狗連」とか「どうする連」は広辞苑にも発見できた。
てんぐ‐れん【天狗連】
自らその道の達人とうぬぼれている連中。
「どうする連」も載せておこう。
どうする‐れん【どうする連】
女芸人をひいきにして足しげく通う連中の称。明治時代、東京で娘義太夫を聞きに通う連中が、節まわしのよいところで、「どうするどうする」と叫んだのに起こる。
他に「有難連」「贔屓連」なんてことばもある。
「どうする連」という言葉は「寝床」だとか「くしゃみ講釈」の枕で使われるんだったかな。落語の掛け声というわけではないと思う。
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